はだかの王様のサクッとあらすじ!
まずは、登場人物と簡単なあらすじを見ておこう♪
- 王様…珍しい洋服を自慢することが大好き。
- 仕立て屋…「愚か者には見えない布で世にも珍しい服を作る」と王様に言う。
- 正直者の大臣…最初に仕立て屋の様子を見に行く。
- 真面目な役人…やはり王様に本当のことを報告できない。
- 子ども…大人の事情なんてお構いなしに、本当のことを言う。
- 洋服を自慢することが大好きな王様のもとに、ある日、一人の仕立て屋がやってきた。「愚か者には見えない布で、この世で一番珍しい服を作ることが出来る」と言うので、王様は喜んで服を作ってもらう。
- 王様は、正直者の大臣と真面目な役人にそれぞれ仕立て屋の様子を見させるが、二人とも嘘をついてしまう。しまいには王様自身も完成した洋服を「見えない」と言えなくなってしまった。城中の人々もほめたたえるので、王様はすっかり有頂天になってパレードを決行する。
- 一人の子どもが「王様は裸だ!」と大声で言い、みんなの目を覚まさせる。
- いばっていた王様は一転して真っ赤になり、「パレードをやめる」と言うが、家来に「途中では止められない」と言われ、しぶしぶ城までパレードを続けた。
はだかの王様のあらすじ!
「王様。
私はこの世で一番素晴らしい洋服を作ることが出来ます。
愚か者には絶対に見えない布で作るんですよ。」
珍しい洋服を集めては自慢するのが大好きな王様のもとにやってきた、一人の仕立て屋。
「それは素晴らしい!
それを着ていたら、家来達が愚か者か、すぐに分かるぞ!」
王様は大喜びで、さっそく注文しましたが…
なんと、お城に来たその男は仕立て屋などではなく、実は、詐欺師だったのです!
「一体、どんな布だろう…
大臣よ。様子を見てくるのだ。」
王様は、正直者の大臣に命令しました。
「見て下さい。
こうすると、色が変わるのです。」
詐欺師は、大臣の前で布を両手の人差し指で布をつまんで、ぴらぴらと振る真似をしました。
が…
もちろん、何も見えません。
正直者の大臣は、とても悩みました。
嘘をつかなければ、大臣を辞めさせられてしまうでしょう。
「大臣よ。どうだった?」
王様にたずねられた大臣は、仕立て屋から聞いた情報をそのまま報告しました。
「そうかそうか。それは楽しみじゃのう。」
なにしろ正直者で有名な大臣です。
うそをつくはずがありません。
王様は、ほっとして、にこにこ笑顔。
正直者の大臣は、それを見て、胸が苦しくなりました。
今度は、真面目な役人が見に行くことになりました。
「あと何日くらいで出来そうですか?」
「あとはこのマントを縫ってしまうだけです。王様にぴったりの模様でしょう?」
大臣が困っていると、詐欺師はたたみかけるように聞きました。
「おや? まさか、『見えない』なんてことはないでしょう?」
「も…
もちろんだ。
とても立派なので、驚いていただけだ…」
こうして、真面目な役人まで、王様に嘘の報告をしてしまいました。
お城の中も、王様の新しい洋服の話題でもちきりです。
「きっと、素敵な洋服ね。」
「早く見てみたいわ。」
などと言いながら、心の中では、もしも見えなかったらどうしよう、と、はらはらしていたのです。
「王様、これが出来上がった洋服です。お気に召しましたか?」
王様は、何も見えないのでびっくり仰天!
「どうされましたか?
王様。
早く感想を聞かせて下さい。」
詐欺師が平然と聞くので、王様は仕方なく言いました。
「なんと見事な洋服だ。よくやった!
で…
…どうやって着れば良いのだ?」
「ならば、私がお手伝いいたしましょう。」
詐欺師は王様に着せる真似をしました。
「着心地はどうですか?」
「…まるで裸のように軽やかだ…」
城中の人々も、見えていないのがばれてしまっては大変!とばかりに、一生懸命にほめました。
王様は、すっかり有頂天になってしまいました。
「そうだ!
この洋服を着て、パレードをしよう!
きっとみんな、洋服の素晴らしさに驚くぞ!!」
たしかに、街の人々は驚きました。
なにしろ、王冠とパンツだけを身に着けた王様が、お腹をぽよんぽよん揺らしながらパレードしているのですから。
「なんで王様は、あんな格好をしているんだ?」
「なんでもあれは、愚か者には見えない、特別な洋服なんだそうよ。」
「どうだ、皆の者!
ワシの新しい洋服は素晴らしいだろう!」
王様にたずねられて、街の人達も仕方なく、口々に洋服のことを褒め称え始めました。
…と、その時です!
「どうして王様は、何も着ていないの?
王様は裸だ!
裸の王様だ!」
一人の子どもが叫んだではありませんか!
途端に、街の人達は、見えているふりをしていたことがバカバカしくなってしまいました。
『王様が裸だ』
と騒ぎ始め、くすくす笑い始める人々を見て、王様の顔は真っ赤っか。
「もうワシはお城に帰るぞ!」
「しかし、王様。」
家来までもが、笑いをこらえながら王様に言いました。
「パレードは、途中で止めることが出来ません。」
こうして裸の王様は、みんなに笑われながらパレードを続けましたとさ。
はだかの王様のまとめ、教訓と感想!
『はだかの王様』は、アンデルセンの童話の中でも有名な童話です。
1964年からは、劇団四季がミュージカルも行っていますね。
自分が愚か者に思われたくないからと言って、嘘をついてはいけません。
しかし、原作を読むにつけ、常日頃からよっぽど人望がない王様だったんだなぁ、とため息をつかずにはいられません。
真面目な役人ばかりか、頼りにしていた正直者の大臣まで、お城の中の人々は、誰一人王様に真実を伝えることが出来なかったのですから。
あまつさえ、子どもの言葉を聞いて、街の人々までそれが真偽かどうか確かめもせずに態度を一変させ、家来も苦笑交じりに
「パレードは中止できません。」
なんて冷たく言い放つ始末。
『嘘』はいけませんが、『優しい嘘』はついたほうがいい場合があります。
『一度始めたパレードは中止できない』というのを街の人達が一人残らず知っていたとしても、せめて
「王様は急にご病気になられた!」
と『優しい嘘』をついて大慌てでお城に逃げ帰ることは出来たのではないでしょうか。
お城に戻ったあと、とんだ赤っ恥をかかされた王様が逆上して、詐欺師はもちろん、王様を笑った者全員にどんな処罰を与えるのか…
なんだか血の雨が降りそうで、想像しただけでゾっとしますね。
面白いお話だけど、みんなに裏切られちゃった王様がかわいそうだね。