長靴をはいた猫のサクッとあらすじ!
まずは、登場人物と簡単なあらすじを見ておこう♪
- 粉ひきの末息子(すえむすこ)…三兄弟のすえの息子。亡くなった父親から猫(ねこ)をもらう。
- 猫…とってもかしこい。長靴(ながぐつ)をはき、息子をしあわせにしようとする。
- 王さま…猫の知恵(ちえ)によって末息子のことをたいそう気に入る。
- 人食い鬼(ひとくいおに)…おかねもちでこわい魔王(まおう)。どんなどうぶつにもなれる。
- まずしい粉ひきの一家の父親が死んでしまい、末の息子は猫を一匹ゆずりうける。
- 猫は長靴をはくと、息子をしあわせにするためいろんなことをする。
- 猫はおそろしい人食い鬼すらもだます。
- 猫のおかげで財産(ざいさん)をてにいれた末の息子は、王さまのむすめと結婚(けっこん)し、しあわせにくらす。
長靴をはいた猫のあらすじ!
あるところに、まずしい粉ひきの一家がいました。
いくらはたらいても食べるのがやっとで、
財産(ざいさん)は粉ひき小屋と、ろば、いっぴきのねこだけでした。
ある日、おとうさんが病気(びょうき)でしんでしまいました。
のこった三人の兄弟(きょうだい)は、財産をわけはじめます。
いちばん上の息子(むすこ)は粉ひきの小屋。
まんなかの息子は粉をはこべるろば。
すえの息子はいっぴきのねこをもらいました。
「ちぇっ。ねこをもらっても、粉ひきのしごとなんてできないよ」
すえの息子がくやしそうにいいます。
「ぼくだけ損(そん)をした!」
すると、なんということでしょう。
ねこが首をよこにふって、しゃべりはじめました。
「まあ、わたしのいうことを聞いてください、ご主人(しゅじん)さま」
急ににんげんのことばをつかいはじめたねこに、息子はびっくり。
「わたしに、長靴(ながぐつ)とおおきな袋(ふくろ)をください! きっとあなたをしあわせにしてさしあげます」
息子はおどろいたままでしたが、このねこがかしこいことは知っていたので、
ねこの言うとおりにしました。
そして長靴をはいたねこは、2本足でたって、森のなかへいってしまいました。
ねこはさっそく、森のなかでうさぎをつかまえて、
それをお城の王さまのもとへ持っていって言いました。
「王さま! こちらはカラバ侯爵(こうしゃく)からのおくりものです」
カラバ侯爵というのは、本当にいるひとではありません。
ねこが勝手につくったなまえで、粉ひきの末息子のことです。
そんなことはしらず王さまはおおよろこび。
「おお、りっぱなうさぎだ!」
ねこは次の日も、まるまるとした鳥を王さまのもとへ持っていきました。
「王さま! こちらも、カラバ侯爵からのおくりものです」
王さまはまた、たいそう嬉しそうに言いました。
「おお! 今度はふとった鳥であるか。カラバ侯爵によろしく伝えてくれ」
まんぞくそうな王さまは、ねこにたくさんの金貨を持ってかえらせました。
さて、とある日。
王さまは、むすめを連れて川へとむかいました。
それを見つけたねこが息子をよびにいきます。
「さあさあ、いますぐ服をぜんぶぬいで、川へはいってください!」
息子はふしぎそうにしながらも、ねこの言うことをききました。
するとねこは、王さまとむすめの馬車が通りかかるのをみつけて、おおきな声でさけびます。
「王さまー! たいへんです! カラバ侯爵が川でおよいでいるあいだに、盗賊(とうぞく)がやってきて、服やくつがぜーんぶぬすまれてしまいました!
「なに!? カラバ侯爵に、そんなことが!?」
おどろいた王さまは、家来(けらい)にりっぱな服を持ってこさせました。
そのぴかぴかの衣装(いしょう)をきた息子は、まるで貴族(きぞく)のようです。
とてもかっこうがよくて、王さまもむすめも、うっとりしました。
「しめしめ。わたしの思いどおりになってきたぞ」
ねこがつぶやきます。
「もしよければカラバ侯爵、いっしょに散歩をしませんか」
息子は、王さまにさそわれて馬車へ一緒にのっていきました。
ねこはというと、馬車についていかず、べつのことをしにいきました。
王さまたちの先回りをしたのです。
馬車よりはやく小麦畑にいって、畑のひとたちにいいました。
「もうすぐここに王さまがいらっしゃいます! この畑がだれのものかときかれたら、カラバ侯爵のものだとこたえてください! お礼にチーズをわけます!」
つづいて、ねこはまたまた先回りをして、牧場(ぼくじょう)へいきました。
「もうすぐここに王さまがいらっしゃいます! この牧場がだれのものかときかれたら、カラバ侯爵のものだとこたえてください! お礼にパンをわけます!」
そのころ、王さまたちの馬車が小麦畑につきました。
「このひろい小麦畑はだれのものじゃ?」
王さまがたずねると、畑のひとたちは声をそろえていいました。
「カラバ侯爵のものです!」
つぎに、王さまは牧場でも同じことをききました。
「このおおきな牧場はだれのものじゃ?」
牧場の人たちは声をそろえていいました。
「カラバ侯爵のものです!」
王さまは、カラバ侯爵に感心、感心。
ひろい土地(とち)をもっているカラバ侯爵のことを、なおさら気に入りました。
ねこは最後の先回りをします。
今度は、おそろしい人食い鬼(ひとくいおに)がすむ、おおきなお城へやってきました。
人食い鬼はまほうがつかえる大金持ち。
じつは、今までとおった小麦畑も、牧場も、ぜんぶ人食い鬼のものだったのです。
「ちかくまできたので、魔王(まおう)さまにごあいさつをしたいのですが……」
ねこはそう言ってお城のなかへはいると、たくさんたくさん、人食い鬼のことをほめました。
人食い鬼はすっかり気をよくしています。
ねこは、その様子をみてきりだしました。
「ところで、あなたはどんなおおきなどうぶつにもなれるそうですが……、まさかゾウやライオンにはなれませんよねぇ」
人食い鬼はむっとします。
「おれにできないことはない! よぉくみておけ!」
人食い鬼はがおう! と、こわぁいライオンに変身しました。
ねこは、半分かくれながらつづけます。
「おお、すごい! ……でも、とってもちいさいネズミには、なれませんよね?」
人食い鬼はまたむっとしました。
「なに!? ねずみだと! よぉーくみておけ!」
そして、人食い鬼がねずみになったそのときです!
「いまだ!」
ねこはとびだして、ぱくりと人食い鬼をたべてしまいました!
そうこうしているうちに、お城まで馬車がやってきました。
王さまたちと息子をむかえながら、ねこはにこにこしています。
「ようこそ、カラバ侯爵のお城へ!」
これには、みんなびっくり。
しかも、こんなにひろいお城をもっているカラバ侯爵がいばらないことに感激(かんげき)して、
王さまがいいます。
「カラバ侯爵、もしよければ、わたしのむすめと結婚(けっこん)してくれないだろうか」
その後、息子とおひめさまはめでたく結婚し、
いつまでもしあわせにくらしました。
そしてそれはぜんぶ、長靴をはいたかしこいねこのおかげでした。
「ね、もらったのがわたしでよかったでしょう?」
めでたし、めでたし。
長靴をはいた猫のまとめ、教訓と感想!
末の息子はさいしょ、もらったものがねこだったので、おちこみます。
でも実際(じっさい)は、ねこのおかげでお城までてにいれることができました。
これはもしかすると、
なんでもきめつけてはいけない
ということなのかもしれませんね。
とってもかしこいねこだね!
でも、おにいさん二人はどうなったのかな?
みんながしあわせになれていると、いちばんいいなぁ!