龍の子太郎のサクッとあらすじ!
まずは、登場人物と簡単なあらすじを見ておこう♪
- 龍の子太郎…龍から生まれた男の子。村の子供達から、いじめられていた。
- ばあさま…太郎の代わりに一日中働いているおばあちゃん。太郎に強くなる方法を教える。
- あや…笛を吹きながら歩く女の子。赤鬼にさらわれるが、その後、太郎を助けてくれる。
- 赤鬼…あやを一番最初にさらった鬼。雷様にしてもらい、最後は味方になってくれる。
- 黒鬼…赤鬼からあやをさらった、でっかくて強い鬼。最後は岩になってしまった。
- 白い子馬…一日に100里走る。黒鬼の宝物。
- 黒鬼の住んでいるふもとの村人…太郎に米のにぎりめしをくれた。太郎は初めてお米を食べて感動した。
- 不思議なばあさま…太郎のお母さんの居場所と、時には立ち止まって状況判断する大切さを教える。
- 雪女たち…太郎は初めて戦いに敗れて、気を失う。
- おっかさん…太郎の母。山のものを独り占めした罪で龍に姿を変えられていた。
- 龍の子から生まれた太郎は、あやと出会う。が、あやが赤鬼にさらわれてしまう。
- 赤鬼、黒鬼と戦い、あやを取り戻す。しかし、おっかさんに会いに行く途中で雪女にやられる。
- 黒鬼の宝物だった白い馬に乗って、あやが太郎を助けに行く。
- おっかさん、あや、赤鬼と力を合わせて山を切り開き、豊かな村を作る。
龍の子太郎のあらすじ!
山と山の間の、石ころだらけの、貧しくて小さな村に、龍(たつ)の子太郎という男の子が、ばあさまと2人で暮らしていました。
龍から生まれてきた太郎は
「龍の子、龍の子、魔物の子」
と、村の子どもたちから、のけもの扱い。
すっかりふてくされて、働かずに、一日中遊んでいました。
ある日、太郎は、笛を吹きながら歩いてきた女の子と出会いました。
あやです。
太郎とあやは仲良しになり、楽しい毎日を過ごしました。
そんなある夜のこと。
ばあさまは太郎に、龍になったおっかさんのことを話してくれました。
「おっかさんは今も、遠い北の湖で、お前を待っているかもしれん。」
と、そのとき、あやのじいさまが、転がるようにかけこんできました。
なんと、あやが赤鬼にさらわれてしまったというのです!!
そこで太郎は、2つのことを決心しました。
ひとつは、あやを助けること。
もうひとつは、おっかさんを探し求めて、北の湖に行くことです。
「それなら、天狗様(てんぐさま)を先にお尋ねして、力をもらうんだ。」
と、ばあさま。
万太郎天狗(まんたろう てんぐ)からは、白い酒。
万次郎天狗(まんじろう てんぐ)からは、赤い酒。
2人の天狗(てんぐ)からお酒をもらった太郎は、元気100倍!
さっそく旅に出かけました。
まずは、赤鬼 vs 太郎です。
「あやは、黒鬼の所に行ったわい」
と赤鬼に言われ、太郎があきらめて行こうとした途端、突然、赤鬼は背後から襲ってきました!
しかし、そんなことで負ける太郎ではありません。
太郎は、こてんぱんに赤鬼を投げ飛ばし、赤鬼は、すっかり悪さにこりました。
「太郎、その力でおらを天に投げてくろ。おらは雷様の弟子になりたい」
と赤鬼が泣きながら言ったので、太郎は雷様のところまで赤鬼をぶん投げてやりました。
次は、黒鬼 vs 太郎です。
黒鬼は、でっかくて強そうです!
そこで、太郎は作戦を立てました。
黒鬼を油断させ、太郎は、見事に、黒鬼をやっつけることに成功しました!
そして、黒鬼から、一日に100里走る子馬をもらいました。
ふもとの村人は、黒鬼を倒してもらって大喜び。
あやと太郎に、たくさんの握り飯(おにぎり)をくれました。
「えっ! これが米の握り飯!?」
はじめてお米を食べた太郎は、感動しました。
太郎の村では、粟(あわ)や、ひえしか、とれないのです。
「ばあさまに、この握り飯を食べさせたいよ…」
太郎は、ぽろぽろ泣きました。
「あや、元気でな。ばあさまを頼んだぞ」
太郎に見送られ、あやは子馬に乗って、村へと帰っていきました。
太郎は途中で出会った貧しい村人に握り飯を分け与えながら、ぐんぐんと進んで行きます。
すると、不思議な山のばあさまに会いました。
「この先の広い湖に、目の見えない龍が住んでいる。
でも、ほら。雪が舞いだした。雪女が出るから、今は行くな」
雪女には、人も、けものも勝てないらしいのです。
けれども太郎は、早くおっかさんに会いたくて仕方がありません。
せっかくアドバイスをもらったのにも関わらず、かまわずに、進んで行ってしまいました。
そして、恐ろしい雪女達に取り巻かれ、とうとう、太郎は気を失ってしまったのです!
太郎、危うし!
どうなってしまうのでしょうか!?
夜が明け、雪がやみました。
そのとき、空の果てで鈴の音が響き、白い馬がかけおりてきました。
あやが助けに来てくれたのです!
「あの子馬が、こんなに大きくなったのよ」
と、あやが教えてくれました。
馬は太郎とあやを乗せて、湖に連れてってくれました。
太郎は考えました。
「おっかさんに会ったら、湖の水をもらって、村の畑をたんぼにしよう!」
ばあさまだけではなく、村のみんなに、おいしい米の握り飯を食べさせてあげたくなったのです。
「おっかさーん!」
太郎は叫び、あやは笛を吹いて、おっかさんを探しました。
すると、湖の水が激しく揺れ、金色に光りだしたかと思うと、とうとう龍が姿を現しました!
「おっかさーん! なぜ、龍になったの?」
と、太郎が聞きました。
「それは、3匹のイワナを一人で食べたからだよ。
山でとれたものは、みんなで分けなくてはいけない。
その決まりを、破ったからだよ。」
と、おっかさん。
「イワナが100匹あれば、そんな決まりはなくったっていいんだ。
おっかさん、この湖を切り開いて、豊かな村を作ろうよ」
太郎の提案に、おっかさんも賛成しました。
あやは、けが人が出ないように、馬に乗ってみんなに知らせに行きました。
龍の姿のおっかさんと、目の見えないおっかさんを助ける太郎。
2人で頑張っていると、赤鬼が雷様の仲間を連れて、手助けに来てくれました。
「おっかさん、今だ! ぶつかって!!」
太郎の合図で、息も絶え絶えになっていたおっかさんの龍は、最期の力をふりしぼりました。
山に身体を打ち付けると、山は崩れ、湖は流れ出し、海へと続く川となりました。
広々とした平野の完成です!
「おっかさん!」
太郎は、ぼろぼろに傷ついてしまった、おっかさんの龍を抱いて泣きました。
すると…
どうでしょう。
おっかさんは、龍の姿から、人間の姿に戻ることが出来たのです!
こうして生まれた土地に人々は集まり、田や畑をたがやして、幸せに暮らしましたとさ。
龍の子太郎のまとめ、教訓と感想!
『龍の子太郎』は、ちょっと長めの作品ですが、ワクワクするような冒険のお話です。
村のみんなからいじめられて、すっかりふてくされていた太郎は、あやから、人と仲良くする優しい気持ちを教えてもらいました。
赤鬼が泣いて太郎に頼んだ時、太郎が赤鬼を雷様のところへ投げてあげたのは、あやから優しい気持ちをもらったからではないでしょうか。
その恩に報いて、最後に雷様の仲間を引き連れて助けに来てくれる赤鬼も、また
「『根っからの悪いヤツ』ではなかったのでは?」
という気がしますよね。
そして、赤鬼との戦いを通して、戦い方を学んだ太郎は、知恵を働かせて、見事に強い黒鬼をも打ち負かします。
黒鬼のふもとの村人たちは、太郎に握り飯をたくさんごちそうし、太郎は『みんなのために頑張る』大切さを学びました。
その心が、龍に変身していたおっかさんの心を揺り動かし、おっかさんは、とうとう人間の姿を取り戻すことが出来たのです!
おっかさんのように、自分のことだけを考えて山のものを独り占めしてはいけません。
みんなが幸せになるには、自分には何が出来るでしょうか。
難しいけど、とても大切な考えですね。
さて、ここで問題です。
サクサクと敵を倒していた龍の子太郎の前に現れた、不思議な山のばあさまと、雪女達は、太郎に何を伝えたかったのでしょうか?
それは
『急(せ)いては事(こと)を仕損じる(しそんじる)』
バタバタと、あわてて物事にとりかかると、かえって失敗して遅くなってしまうよ、という教訓です。
『急がば、まわれ』
とも言いますね。
太郎はあやが助けに来てくれたので良かったのですが、あそこで誰も助けに来てくれなかったら、完璧にアウトでしたよね。
太郎のように
『自分は強いんだ! 誰にも負けないぞ!!』
と、有頂天になっているときこそ、きちんとまわりを見て、冷静に判断することが大切です。
優しさ、勇気、知恵、みんなのために頑張る心…
『龍の子太郎』は、大切なことが、ぎゅぎゅっ!と、たくさんつまったお話です。
あやは、赤鬼にさらわれて龍の子太郎に助けてもらったけど、太郎が本当にピンチになった時に太郎を救ったのも、あやなのね。
あやって、すごいわ!
私も、あやのように、優しくて頼りになる女性になりたいな。