吉作落としのサクッとあらすじ!
まずは、登場人物と簡単なあらすじを見ておこう♪
- 吉作…いわたけを採って暮らす若者。身も心もたくましく立派。
- 岩茸を採って暮らしているたくましい吉作という青年がいた。
- 初めての場所に行ったが、一時の気の緩みで岩場に1人取り残されてしまう。
- 飢えと寒さから意識は朦朧とし、ついに岩場から身を投げてしまう。
- その岩場は「吉作落とし」と言われるようになり、山に入る人の戒めとなった。
吉作落としのあらすじ!
昔々、そそり立つ岩と原生林で有名な豊後の国、
傾山のふもと、うわはたの里にたくましい1人の若者がおった。
名を吉作といい、岩茸を採って暮らしていた。
父も母も亡くなっていたが身も心もたくましい青年だった。
岩茸はそそりたつ岸壁に生えているため、綱一本を頼りに岸壁にへばりつきながら岩肌からかき採るという大変な仕事だった。
ある秋の日、吉作はいつも通り岩茸を採りに出かけた。
しかし、行き馴れた場所ではなく、初めての場所にはいった。
そこには岩茸がたくさん生えており、吉作は無我夢中で岩茸をかき採っていった。
みるみるうちに腰のかごはいっぱいになり吉作はウキウキしていた。
ふとみるとちょうど人一人座れるくらいの小さな岩棚があることに気づいた。
吉作がそこで休憩することにした。
「さあ、そろそろ帰ろうか」
そう思って立ち上がった吉作は自分を支えていた綱がはるか上にあることに気づいた。
「し、しまった」
とても手が届かない。
綱がないと上へあがることができない。
吉作は必死で手を伸ばしたり、岸壁をよじ登ろうとした。
しかし、どうやっても綱に手が届かない。
吉作は自分一人では登ることも降りることもできなくなってしまった。
「おおーい、たすけてくれえー」
力の限り叫ぶも、吉作の声はむなしく山々に木霊するばかり。
それでも叫ぶが、その声がふもとの村に届くころには人の声ではなく、まるで化け物の叫び声のようになってしまった。
村人は気味悪がってますます山に近づかなくなってしまった。
1人で暮らしていた吉作が行方不明になったこととその声の正体と結びつけるも者も誰もいない。
そのまま何日か経ち、飢えと寒さのために、吉作の意識はほぼ失われかけていた。
すると吉作の目に空を自由に飛んでいる鳥の姿がうつった。
「ああ、おらも自由に空が飛べたら…」
わずかに動くと小石が下に落ちていった。
まるで木の葉が舞い降りていくようにふんわりと。
「おらもここから身をなげたら、
あの石のように林の中にふんわりと静かに谷間に降りれるかも」
吉作の目には遠くの山並みがぼんやりと見えた。
そしてついに吉作は岸壁から身を躍らせた。
初めて見る谷間の木々の紅葉の美しさ。
吉作はその中へ吸い込まれていった。
ほんのちょっとの気の緩みで命を落としてしまった吉作。
このことに気づいた村人は、あの岩場を「吉作落とし」と名付け、山に登る人々の戒めとしたのだった。
吉作落としのまとめ、教訓と感想!
大分県に伝わる昔話です。
岩場に1人取り残される恐怖。考えただけでゾッとしますね。
このお話からは、
- 山に登るときは2人以上で
- 気の緩みが命を落とす
ということがわかりますね。
怖い。
じんわりと怖さが広がってくる。
特に高所恐怖症の人はトラウマものだよね…。