しょじょ寺の狸囃子のサクッとあらすじ!
まずは、登場人物と簡単なあらすじを見ておこう♪
- たぬきたち…しょじょ寺の近くの山に住んでいる。寺にやってきては騒ぎまわる。
- 少し変わった和尚さん…たぬきたちにおどろかされても気にせず、寺から出て行かない和尚さん。
- しょじょ寺というお寺には山からたぬきがおりてきて毎夜騒ぐので、和尚さんがいなかった。
- 何人かの和尚さんが、われこそはと寺にやってきたが、たぬきにおどろかされてすぐに出て行った。
- ある日、少し変わった和尚さんがやってきて、たぬきがいくらびっくりさせても気にすることはなかった。
- それどころかたぬきと一緒に腹太鼓をするようになり、たぬきと和尚さんはすっかりなかよくなった。
しょじょ寺の狸囃子のあらすじ!
むかしむかし。
しょじょ寺(じ)、というお寺がありました。
このお寺の周りには山が多く、たぬきがいっぱい。
夜な夜なたぬきたちは寺へやってきて、おなかを叩き、暴れまわっていました。
ぽんぽんぽん! ぽんぽんぽん!
たぬきたちが騒々しいおかげで、この寺にはずっと和尚(おしょう)さんがいません。
寺は荒れほうだいでした。
ある日、立派な和尚(おしょう)さんがこの寺のうわさを耳にしました。
「よろしい。わしが行ってみよう」
新しい和尚さんが来たとたん、たぬきたちが見にきます。
そしてたぬきたちは妖怪にばけると、和尚さんをこわがらせて、
あっというまに追い出してしまいました。
次に寺にやってきたのは、大きく、とても力のつよそうな和尚さんです。
今度もたぬきたちは妖怪にばけましたが、投げとばされてしまいました。
かわりに、夜ふけに腹を鳴らし、寝ている和尚さんを叩き起こすことにします。
眠れなくなってしまった和尚さんは、お寺から出て行きました。
さて。最後にやってきたのは、ぼさぼさの格好をした和尚さんです。
この和尚さん、どうやら少し変わっている様子。
ひとつめ小僧にばけたたぬきが近寄ると、「おお、かわいいなぁ」と、団子を分けました。
きれいな女のろくろっ首にばけたたぬきがそばに行くと、「酒でもどうじゃ」と、一杯そそぎました。
三つ目入道にばけたたぬきが声をかけると、「おお、力がありそうだ、肩をもんでくれ」と、頼みました。
「こりゃあどうしようか」
「しかたあるまい、またあれをしよう」
たぬきたちは、夜ふけになってからまた腹を鳴らしはじめました。
ところが。
「おお、なにやら楽しそうな音がするのう」
和尚さんはまったく困った様子もなく、部屋から出てきます。
「どれ。わしもまぜておくれ」
和尚さんはたぬきたちに近づいて、楽しそうに踊りはじめました。
たぬきたちはもうびっくり。
そんなたぬきたちに気づかず、和尚さんは今度は、腹太鼓(はらだいこ)を真似しはじめました。
とんとんとん! とんとんとん!
和尚さんは自分の腹を叩いたときの音がたぬきのものとはちがうので、
むきになってたくさん叩きました。
とんとんとん! とんとんとん!
すると、力を入れすぎてしまったのか、和尚さんはそのまま気をうしなってしまいました。
「お、おい! 和尚がたおれたぞー! はこんでやれー!」
たぬきたちは和尚さんを寺の中まではこび、ふとんをかけてやりました。
次の朝。
けろっとした和尚さんは起きるなり、腹を鳴らす練習を始めています。
とんとんとん! とんとんとん!
そして昼がすぎ、夜がくると……
ぽんぽんぽん! ぽんぽんぽん!
なんと、たぬきと同じ音を出せるようになりました。
じつは、たぬきたちはその姿をこっそり見ていたのです。
和尚さんが同じ音をだせるようになったことが嬉しくて、
たぬきたちは和尚さんにかけより、みんなでおなかを鳴らして遊びはじめました。
ぽんぽんぽん! ぽんぽんぽん!
ぽぽんぽぽん! ぽぽんぽぽん!
和尚さんに負けじと元気よく腹太鼓をしすぎたたぬきが、腹の皮をやぶってしまいました。
でも和尚さんがすぐに薬をぬってやり、痛くなくなりました。
「よぉし、みんな、今日は朝まで腹をたたくぞ!」
たぬきたちはもう和尚さんがだいすきです。
なかよくなった和尚さんとたぬきたちは、太陽が登るまで楽しくおなかを鳴らしつづけました。
今でもしょじょ寺は、満月の夜になると、たぬきたちがおなかを鳴らす音が聞こえてくるそうです。
ぽんぽんぽん! ぽんぽんぽん!
おしまい。
しょじょ寺の狸囃子のまとめ、教訓と感想!
最後にやってきた和尚さんとたぬきたちがなかよくなれたのは、なぜでしょうか?
それはもしかしたら、たぬきたちの邪魔をしようとせず、一緒に楽しく過ごしたからかもしれません。
たぬきたちは遊びたいだけなのだと思います。
きっと、たぬきたちの気持ちをわかろうとしない和尚さんがお寺にやってくると、自由に遊べなくなってしまうから追い出すのでしょう。
たぬきたちとあの和尚さんのように打ち解けられると、同じ土地で暮らしていきやすいのかもしれませんね。
満月の夜に耳をすましたら、どこかから「ぽんぽん」って音が聞こえてくるかなぁ?