昔話あらすじ

【蛸薬師】昔話のあらすじをサクッと簡単にまとめてみた!

あらすじゾウ
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蛸薬師のサクッとあらすじ!

まずは、登場人物と簡単なあらすじを見ておこう♪

 

蛸薬師の登場人物
  • 善光(ぜんこう)…京都の妙心寺の若いお坊さん。
  • 母親…善行の年老いた母親。
  • 魚屋…善光を無理やり女装させる。
  • 近所のお坊さん…善光の姿を見破る。

 

サクッとあらすじ!
  1. 善光の母親が重い病気になり、「タコが食べたい」と言う。
  2. 仏に使えるお坊さんは、生き物の殺生は禁じられている。しかし善光は「母親の命には代えられない」と決心する。魚屋は善光に女装させて正体を隠そうとしたが、逆に、悪目立ちしてしまう。
  3. 善光は必死で走って、なんとかお寺にたどり着いたが、そこで近所の和尚さんに出くわし、生臭い臭いに感づかれてしまう。そして、無理やり桶のふたを取られてしまった。
  4. しかし、中に入っていたのはタコではなく、ありがたいお経の巻物! 薬師如来様がタコの姿を一時的に変えてくれたのだ。おかげで母親にタコを食べさせることが出来、母親の病気はすっかり良くなった。

蛸薬師のあらすじ!

むか~し。

 

善光(ぜんこう)というお坊さんがおりました。

善光は比叡山で一生懸命に修行に励んでいましたが、そのうち、村に置いてきた母親のことが心配で仕方がなくなりました。

そこで途中で修行をやめ、山を降りることにしました。

 

一緒に修行をしてきた仲間の中には

「修行も満足に出来ない、ダメな奴!」

とあざけって笑う者もいたそうです。

 

善光の故郷は、年寄りには大変不便な村でした。

そこで2人は京に出て、あるお寺に移り住むことになりました。

2人は大変穏やかな毎日を送っていました。

 

しかし、あるとき、母親が重たい病気にかかって寝込んでしまいました。

お医者さんに診せても、さっぱり病名が分かりません。

 

「本人がもっと食べる気を起こしてくれたら、だいぶ助かるんじゃが。」

とお医者さんがおっしゃるので

「お母さん、何か食べたいものはありませんか。あったら、何でも良いから言って下さい」

と善光は母親にたずねました。

 

すると…

 

「た…こ……」

 

なんと、母親はタコが食べたいと言うではありませんか。

 

「本人が食べたいというものがあったら、何でも食べさせるようにしてくだされ」

お医者さんはそう言い残して、去っていってしまいました。

 

さぁ、困りました。

仏に使える身である善光は、生き物を殺生してはいけないのです!

 

善光は散々悩んだ末に、やっと決心しました。

 

(そうだ。

どんなことがあっても、お母さんの命には変えられない!!)

 

そこで善光は、薬師様のお堂に行き、一生懸命に許しを乞いました。

 

「薬師如来様。

どうか、殺生をすることをお許し下さい。

御仏の教えに背くことを、お許しください。

どうか、母にタコを買い与えることをお許し下さい。 お願いします。」

 

善光は魚屋に来ましたが、なかなか勇気が出ません。

魚屋をちらちら見ながら、行ったり来たり…

 

それを見ていた魚屋は

「やいやいやいやい! なんだって、さっきから、店の前をうろうろしてるんでぃっ!!

おめぇさんのおかげで、他の客が寄り付かねぇじゃねぇかよ!」

と、とうとう善光に怒鳴りました。

 

「すみません、その、タコをいただきたいのですが…」

 

魚屋は最初

「どんな理由があろうとも、お坊さんが殺生をするなんて…」

と怒りました。

 

が、突然、善光の首元をひっつかむと、家の奥に上げました。

そして、驚く善光の頭にほおかむりをし、女物の着物を着せてタコを持たせました。

これならバレないと思ったのです。

 

しかし

「あっ、あそこに、変な格好をした人がいる! 女物の着物を着た坊さんだ!」

と子どもたちに笑われるほど、かえって悪目立ちしてしまいました。

 

善光は途中、何度も危ない目に会いながら、なんとかお寺のそばまで走ってきました。

 

ところが…

 

運悪く、近所の口やかましい和尚さんが善光のお寺の前で立ち話をしていました。

善光は上手くすり抜けようとしましたが

「あ、これ。落とし物じゃぞい」

なんと、着物の帯を落としてしまったのです!

 

「なんでい、善光じゃないか。どうした、どうした、その格好は」

と言って和尚さんは笑いました。

 

「これ、善光。その手に持っているものはなんじゃい。」

和尚さんは目ざとく、善光がタコを持っているのを見つけてしまいました。

 

「そんな、タコなんかじゃありません。」

と善光は言いましたが、生臭い匂いはするし、妙な格好はするし、で、言い逃れできません。

 

「タコかどうか、ワシがこの目で確かめてやるわい!」

とうとう和尚さんは、善光が持っていたおけのフタを開けてしまいました。

すると…

 

なんということでしょう。

おけの中には、ありがたいお経の巻物が輝いているではありませんか!

 

「ひぇぇぇっ!」

和尚さんは、あわててひれ伏しました。

「そのようなありがたい経文とはつゆ知らず、とんだ失礼をいたしました!」

 

そのすきに、善光は急いでお寺の中に駆け込みました。

お寺の中でもう一度見てみると…

 

そこにあったのは、やっぱりタコでした。

 

そこで、善光は、ハッ、と気が付きました。

 

「これは…

もしかして、薬師如来様が私のために…」

 

薬師如来様のおかげで、善光は無事に母親にタコを食べさせることが出来、母親の病気もすっかりよくなったのです。

 

この薬師様は土地の人々から『蛸薬師』と呼ばれ、今も多くの信心を集めています。

蛸薬師のまとめ、教訓と感想!

京都の永福寺(えいふくじ)は、別名、『蛸薬師堂(たこやくしどう)』と呼ばれています。

タコ薬師、なんて、へんてこりんな名前ですよね。

タコって、悪口にも使われるのに、どうしてそんな名前で呼ばれるようになったのでしょうか?

 

その理由を述べた昔話が、この『蛸薬師』です。

『蛸(タコ)』をとっさに、ありがたい経文に変えて下さった『薬師』如来様、という意味ですね。

それ以来、薬師如来様は『蛸薬師如来』と呼ばれるようになったそうです。

 

実際に蛸薬師堂のご本尊の所に行ってみると、『なで薬師』があります。

赤くて立派な座布団の上に木彫りのタコが鎮座しているのです。

つるつると光沢を放って、ちょっと怖いくらいにリアル。

『なで薬師』さんを左手でなでると、すべての病気が治ると言われています。

 

それにしても、タコを食べると治る病気なんてあるの?

と不思議ではありませんか?

 

善光の母親の病気が良くなったのは、ひとえに、善光の薬師如来様への信心の力と、母を思いやる愛情がなせた業…

かと思いきや、実は、タコは栄養が、ぎゅぎゅっ!とつまった食材なのです。

 

  • タコは高タンパクで低カロリー。筋肉や臓器を再生するのに役立つ。タコには、タンパク質の働きをサポートするナイアシンも含まれている。
  • タウリンが多く含まれており、疲れた肝臓の機能を高める・血圧を下げる・目の健康を維持する機能がある
  • 亜鉛も多く含んでおり、新陳代謝を促進して、免疫力を高める
  • ビタミンEを含み、血流を改善し、冷え性などにきく

 

とは言え、タコを食べすぎると、消化不良を起こしてお腹をこわしてしまったり、高コレステロール血症、動脈硬化、疾風などの病気の引き金にもなります。いい栄養がつまっているから、と言って、食べすぎには注意しましょうね。

あらすじゾウ
あらすじゾウ

善光さん、とってもお母さん思いだね。

お母さんの病気が治って、本当に良かったよ。

絵本おばあちゃん
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