ろくろ首のサクッとあらすじ!
まずは、登場人物と簡単なあらすじを見ておこう♪
- 男…旅のとちゅう、あるやどやで奇妙(きみょう)な女とであう。
- 女…とてもうつくしいが、じつは……。
- 男は旅のとちゅう、やどで女とへやを半分ずつ使うことになった。
- 男が寝つけないでいると女の首がながくのびているのを見つけた。女はろくろ首であった。
- ろくろ首がおかしなことをしたらこらしめてやろうと追いかけた男は、女に見つかってしまう。
- しかし、つぎの朝、男は自分もおなじろくろ首であることに気づいてしまい、どこかへ消えてしまった。
Contents
ろくろ首のあらすじ!
昔、あるところに、旅をつづけるひとりの男がいました。
ある日、日がくれてきたので、男はやどやにとまろうとしました。
しかし、その日にかぎってお客さんがいっぱいで、あきがありません。
男は、やどやにたのまれて、ほかのお客さんとへやを半分ずつ使うことにしました。
その相手はうつくしい女の旅人です。
部屋のまんなかにしきりをひとつおいて、ねることにしました。
さて、その日はとてもむしあつく、男はなかなかねつけません。
あけがたになってやっと眠気がやってきました。
うと、うと……。
しきりのむこうの女もねつけないのでしょうか。
ずっともぞもぞしていましたが、とつぜん、起きあがるけはいがします。
おてあらいにでも行くのかなと、男は気にせずにねむろうとしていましたが、
ふと、なまあたたかい風がふいてきました。
そしてしきりの上を見ると、なんと。
女のあたまが浮かんでいるではありませんか。
そのしろい首はほそくながくのびています。
「まさか。あの女、ろくろ首か」
男はつぶやくと、ねたふりをしながらろくろ首をじっと見つめました。
ろくろ首がなにかおかしなことをしたら、のびている首をつかみ、ちぎってやろうと思ったのです。
けれどろくろ首はふわふわとただよって、
雨戸のあいだから、へやのそとへと出ていきました。
男はそっとおいかけます。
ろくろ首がたどりついたさきは、おじぞうさんがならんでいる林のなか。
池にくちびるをちかづけて、ながい舌をだし、水をのんでいます。
「ああ、今日はむしあついものな。おれものどがかわいた……」
木のかげにかくれていた男はそう思って、ごくり、とのどをならしました。
そのときです。
くるり。
ろくろ首が男のほうを見て、にやりと笑いました。
「しまった。見つかったかもしれん」
男はいそいでへやにもどり、なにごともなかったかのようにねむりました。
つぎの朝、男よりはやく目をさました女が、しきりのかげから声をかけてきました。
「昨日の夜はとてもむしあつかったですねえ。よくねむれましたか」
「……ほんとうですなあ」
男はふとんをかたづけながらこたえて、しきりをとりのぞきました。
「あつかったけれど、きのうはつかれていたのか、こちらはぐっすりとねむって、夢ひとつみませんでした」
男はわざと、とぼけたふうに言います。
すると女はわらって、
「あら、あなたさま、あんなにふしぎなことをなさったのに」
と言うのです。
「はて、おれがふしぎなことを? ふしぎなことをしたのはむしろ、あなたのほうではないですか」
女はにこにことしています。
「わたしがふしぎなことを?」
「ええ。あなたは、うつくしい方だが、じつはろくろ首で、このへやからぬけだし、池の水をのみにいっていたのだ」
男が声をあらげながら言うと、女は目をほそめました。
「ようやく気がついたのですね。あなたさまが、首をながくのばして、わたしのようすをのぞいていたことに」
それを聞いて男ははっとしました。
ずっと気づいていませんでしたが、男もほんとうは、ろくろ首だったのです。
「どうです? にたものどうし、これから一緒に旅をしませんか」
女はさそいましたが、男は顔をまっさおにして頭をよこにふりました。
「い、いえ。せっかくの申し出ですが……」
そうして男は、いそいで荷物をまとめ宿からとびだし、
どこかへ消えてしまったということです。
おしまい。
ろくろ首のまとめ、教訓と感想!
このお話をきいて、どう思いましたか?
ろくろ首とであったら、きっとびっくりしてしまいますね。
でも、男も、自分で気づけていなかっただけで本当はろくろ首だったのです。
最初、男は、“女のろくろ首が何かおかしなことをしたら、首をひきちぎってやろう”と考えていました。
ひょっとすると、“にんげんのじぶんとはちがう女のろくろ首は、おっかなくて悪いやつだ”と思っていたのかもしれません。
だけれど、結局、男もおなじろくろ首。
このお話はもしかしたら、
だれかのことをうたがうのは簡単だけれど、自分がいつも正しいと思わないほうがいい
と教えてくれているのかもしれませんね。
首がながーくのびると、とおくまで見えてべんりだね!
ちょっと、うらやましいな!