雪女のサクッとあらすじ!
まずは、登場人物と簡単なあらすじを見ておこう♪
- みのきち…北国にすむきこり。
- もさく…みのきちの父親。
- ゆきおんな…みのきちの前にあらわれた、はだのまっしろなおんな。
- おゆき…みのきちが恋におちたうつくしいむすめ。
- とある冬の日、みのきちは父親のもさくと山へでかけた。
- ふぶきになり立ちよった小屋で、ゆきおんながもさくのいのちをうばってしまう。
- みのきちはひとりきりになったが、ある日おゆきというむすめと恋におち、しあわせをとりもどす。
- しかし、おゆきの正体(しょうたい)はゆきおんなで、ある約束をやぶったみのきちの前からおゆきは消えていなくなる。
雪女のあらすじ!
むかし、むかし。
さむい北の国でのおはなしです。
けわしい山のずっと奥に、ちいさな村がありました。
そこには、もさくという年寄りのきこりと、
みのきちという若いきこりがすんでいました。
「今夜は、ふぶきそうじゃな」
「そうだな。はやめに山へでかけようか」
この親子は、ふだんはきこりをしていますが、
山が雪におおわれるころになると、
てっぽうを持って、猟(りょう)にでかけます。
二人は山の奥へとはいっていきました。
ところがその日は、どんな動物もすがたを見せません。
もっと奥へ、奥へ進むうちに、雪がふりはじめました。
びゅう、びゅう……。
「いかん、おとう! 雪がふってきた、はやくうちへ帰らんと!」
「とても間に合わん! ちかくにきこり小屋があったはずじゃ」
二人は、ふぶきをやりすごすための小屋をさがして歩きはじめました。
「あった! きこり小屋だ!」
ぶじに、小屋へとたどりついた二人。
いろりを囲んで、あたたかい火にあたっていると、
いつのまにか眠りこんでしまっていました。
そのとき。
ひたり、ひたり、と音がします。
みのきちがうっすら目を開けると、
そこには雪のように肌の白い女がいました。
髪は長く、きものを着ています。
その女が寝ているもさくに息をふきかけると、
もさくはみるみるうちに、こおりになってしまいました。
みのきちはおそろしくて、声がだせません。
そんなみのきちを見て、女は言いました。
「あなたはまだ若い。いのちがかがやいています。今夜は、いのちをもらうのはやめましょう」
女はつづけます。
「でも、このことは誰にも話してはなりません。
もし話したら、そのときは、あなたの美しいいのちをこおらせてしまいます」
みのきちはここで気絶してしまいました。
しかし目がさめたみのきちが見たものは、こごえ死んでいるもさくでした。
やがて、時がすぎ、つぎの冬がやってきました。
みのきちはすっかり無口になり、
ひとりでさみしく暮らしています。
夜、みのきちが仕事をしていると、家の戸をたたく音がしました。
「だれだい? いま、あけるよ」
そこには、うつくしいむすめが立っていました。
「夜分にすみません。旅の途中(とちゅう)、まよってしまいました。どうか一晩、とめてはいただけませんか」
むすめにそうお願いをされると、みのきちは真っ赤になりながら、
家へとおしました。
「そとは雪だ。寒かったでしょう。あたたかいものを作りますから、めしあがって」
「いえ、あたたかいものは、ちょっと……」
「そ、そうか! ねこじたなんだな」
みのきちはむすめをかわいらしく思って笑いました。
むすめの名はおゆきといいます。
二人は、だんだんと心をよせあい、夫婦(ふうふ)になりました。
やがて二人は五人のこどもにめぐまれ、
無口だったみのきちは笑顔をとりもどしました。
「これもぜんぶ、おゆきのおかげだ」
ただ、おゆきは夏のあつい日差しをうけると、
ふらふらとたおれてしまうのでした。
そんなおゆきをささえながら、みのきちたちは仲良く過ごしていましたが、
ふしぎなことに、おゆきはいつまでたっても若くてきれいなままです。
そして、ある年のさむい冬の夜。
家の外ではびゅうびゅうと雪がふっています。
みのきちはふと、おゆきを眺めながらくちをひらきました。
「おゆきは、いつまでも美しいままだなぁ。おらぁ、おゆきに出会えてほんとうによかった」
そうして、あの小屋でのできごとを思い出しました。
「おゆきがいなければ、今もずっとかなしかった。実は、以前、こんな雪の日に……」
みのきちは、ぽつり、ぽつりと話しはじめました。
もさくがこごえ死んだ、あの夜のことです。
「おらぁ、あんなにおそろしい思いをしたことはねぇ。おまえの顔を見ていたら、ふと、思い出した……」
「おまえさん」
おゆきがふりむきます。
「おまえさん、そのときなにか、
約束(やくそく)をしなかったかい」
みのきちは、はっ、と目をみひらきます。
「その話はだれにもしてはならないという約束を、しなかったかい」
おゆきはそう言うと、みるみるうちにすがたを変えていきました。
そこにいたのは、雪のように肌がまっしろな、あの日のおんなでした。
「わたしが、そのゆきおんなです」
おゆきは、かなしそうに背を向けます。
「約束をやぶると、いのちをこおらせると言いました。でも、もうできない。こどもたちのことを思うと、わたしにはできない!」
戸をあけて、おゆきが出ていきます。
「かわりに、わたしが消えましょう。こどもたちのことを、たのみますよ……」
みのきちは血相(けっそう)をかえて、あとをおいかけました。
でも、もうおゆきのすがたはどこにもありません。
おゆきは、雪がとけるよういなくなってしまったのでした。
それからずっと、みのきちは子どもたちを大切にそだてました。
北の国には、いまもゆきおんながいるといいます。
ゆきおんなは、優しいみのきちに会いたいのか、
それとも子どもたちのことをおもってか、
ひゅう、ひゅうとかなしい声をたてながら、
雪の山々をかけめぐっているということです。
おしまい。
雪女のまとめ、教訓と感想!
さて、すこし考えてみてください。
ゆきおんながもさくを凍らせたこと。
ゆきおんなが約束をやぶったみのきちをこおりづけにしないかわりに、こどもたちを残して消えたこと。
なんでそうするしかなかったのだろう?
と、ふしぎに思えます。
ですが、もしかしたら、ゆきおんなにはゆきおんなのルールがあるのかもしれません。
人間はゆきおんなではないから、理解するのはむずかしいけれど、ゆきおんながしたことの意味やゆきおんなの気持ちを想像してみることは、とっても大切なのではないでしょうか。
みのきちは、おゆきの正体(しょうたい)がゆきおんなだったと知っても、おこらなかったね!
ふたりはずっとなかよしでいられたかもしれないのに、さみしいなぁ。