くわず女房のサクッとあらすじ!
まずは、登場人物と簡単なあらすじを見ておこう♪
- けちな男…「食事を欲しがらない女」としか結婚するつもりがない。
- めしを食わない女…ある日、男のもとにやってきた。男の望み通り、食事を欲しがらないのだが……?
- あるところにけちな男がいて、その男は「食事を欲しがらない女」としか結婚するつもりがなかった。
- ある日、男の家に訪ねてきた旅の女は「食事を欲しがらない女」で、ふたりは結ばれた。
- しかし、女の正体は鬼で、それに気づいた男が離縁を申し出た。
- 女は男を連れ去ろうとしたが、鬼の苦手な菖蒲の花のおかげで男は一命をとりとめた。
くわず女房のあらすじ!
昔、あるところに、大変けちな男がいました。
この男は炭を売って暮らし、できたお金で米を買って貯めこんでいました。
「おめえもいい加減、嫁をもらったらどうじゃ」
炭を売りに行った町で男は知人からそう言われましたが、
「めしを食わねえ女なら考えるわい」
と、笑い飛ばしました。
そんなある晩のこと。
不意に、男の家の戸を叩く音がしました。
「ごめんください。旅の者です。一泊させてはいただけませんでしょうか」
男が戸を開けると、そこには美しい女が立っています。
「泊まるのは構わんが、お前さんの食事はないぞ」
男の言葉に女はにっこりと笑いました。
「私はものを食わない女です。大丈夫」
そして女は結局、そのまま男の家に残り続け、男と結婚することになりました。
男は、自分の望む相手と出会えた嬉しさから、町でいろんな人に結婚を自慢しました。
すると、町民は、
「その女は普通じゃない。鬼か何かだ、気をつけろ」
とくちぐちにに言います。
男は、まさか……と思いながらも気になりました。
そしてあるとき、出かけたふりをして、家の柱のかげに隠れ女の様子を確かめることにしました。
「はっ。なんだあれは」
男が見たのは、頭のてっぺんにある口からおにぎりを次々と食べている女の姿でした。
男は恐ろしくなって叫びます。
「やい! おまえは、ばけものだったんだな! 離縁だ、離縁だ!」
こちらを見た女はにたりと笑って、姿を鬼に変えました。
そうして男を桶に入れ、連れ去ってしまおうとしました。
しかし、男は隙を見て、なんとか逃げ出そうとします。
女が気がつかないうちに桶から出て、菖蒲という花があつまっている場所にかくれました。
「どーこーだー!」
女はすぐに男をさがしにやってきて、かくれている男を見つけました。
ところが、どうやら菖蒲の香りが苦手なようです。
菖蒲の花に近づくと、顔をしかめて苦しんでいます。
「それ! これでもくらえ!」
男は菖蒲の花をつかみ、女に投げつけました。
すると女は悲鳴をあげて、どこかへ走り去ってしまいました。
男はその後ろ姿を見てほっと胸をなでおろし、つぶやきました。
「めしを食わない嫁なんか、欲しがるもんじゃあねえんだな……」
おしまい。
食わず女房のまとめ、教訓と感想!
最後に男が呟いた、
「めしを食わない嫁なんか、欲しがるもんじゃあねえんだな……」
という言葉は、本当にその通りだと思います。
けちな男が欲を出しすぎたために、とんでもない結果を呼び寄せてしまったのではないでしょうか。
ごはんを食べずに済む人間なんかいません。
この男に限らず私たちも、自分勝手で無茶な望みは、持っていてもきっといいことが起こらないのでしょうね。
菖蒲の花って、どこに咲いているんだろう? 見てみたいなあ!
見てみたいな!