人形峠のサクッとあらすじ!
まずは、登場人物と簡単なあらすじを見ておこう♪
- お侍さん…家来たちに「怖いから帰ろう」と言われたが言うことを聞かず、あわや殺されそうになる。
- 商人…侍と合流するが、化け物に殺されてしまう。
- 若い女性とお坊様…手を組んで化け物退治する。若い女性の正体は、実は…
- 人食い蜘蛛…峠に住んでいる化け物。
- お侍さん一行は化け物が出ると噂の峠に行った。お供は怖がったが、前を商人が歩いていくのを見て、少し安心する。途中で大きな琴が置いてあり、「この峠を越えたいなら、この琴を弾け」とどこからともなく恐ろしい声が響いてきた。商人が手を差し出すと、琴の糸が手に絡まり、今度は足も絡まれて…とうとう、商人は人食い蜘蛛につかまって食べられてしまった。お侍さんたち一行はそれを見て、慌ててふもとの茶屋に逃げこんだ。そこに居たお坊さんがあんまり話を聞きたがるので、話して聞かせた。
- 次の日の夜。今度は、若い女性が峠に現れた。女性は、「疲れているから」「眠いから」と、なかなか蜘蛛の計画に乗ってこない。
- しびれを切らした蜘蛛は、琴の糸で女性を捕まえてしまった。と、そのとき、錫杖(しゃくじょう。布教や修行のためにお坊様が持っている長い杖)が蜘蛛の頭に突き刺さり、蜘蛛は息絶えた。
- なんと、若い女性は人形で、若い女性の声は、お坊様が出していたのだ。こうして人食い蜘蛛は、賢いお坊様によって、見事、退治されたのであった。
Contents
人形峠のあらすじ!
むか~し。
今の岡山県と鳥取県の県境(けんざかい)に、大きな峠があり、化け物が出るという噂が流れておりました。
ある夕暮れ時。
一人のお侍さんが、家来を引き連れてこの峠にさしかかりました。
昼間でも薄暗いこの峠は、辺り一面、なんとも不気味な気配に包まれています。
「殿、この峠ですよ。化け物が出て人を食い殺すと噂が立っているのは」
「別の道を参りましょう」
家来たちは怖がって言いました。
しかし、遠回りすると、10日以上も余計にかかってしまいます。
馬に乗っているお侍さん自身も、内心びくびくしていましたが
「どうせ、どこかの臆病者が言い出した、嘘っぱちに決まっておるわい!」
と、笑って言いました。
ふと前を見ると、旅の商人が歩いていました。
それを見て、お侍さんたちはちょっと安心しました。
しばらく行くと
「なんじゃぁ、あれは?」
と、商人が驚きの声を上げました。
なんと、大きな大きな琴が、道をふさいでいるではありませんか。
「こりゃぁ、商人!
この琴を弾け!
さもなくば、この峠を通すわけにはいかん!!」
どこからともなく、恐ろしい声まで響いてきます。
商人がこわごわ琴を弾こうとすると…
琴の糸が、ねばねばと両手に絡みついてきたではありませんか!
「手がダメなら、足で弾け」
またもや、恐ろしい声が響いてきました。
商人が言われるがままに足を近づけると、両足までも捕らわれてしまい、商人は空中に吊るされました。
なんと、琴に化けていたのは、大きな人食い蜘蛛だったのです!
後ろで見ていたお侍さんは目を回し、お供の者たちは大急ぎで引き返し、ふもとの茶屋に駆け込みました。
「旅人が食い殺された! 我々は別の道を行くことにする!」
という家来に
「何をおっしゃいます、お侍様。わしら、このままでは安心して峠を越せません。なんとか化け物を退治して下さいな。」
と、茶屋のおばあさんは泣く泣く言いました。
が、もちろん、取り合ってもらえるはずがありません。
すると…
ちょうど茶屋にいた旅のお坊さんが、詳しく話を聞いてきました。
家来は最初、嫌がりましたが、お坊さんに丁寧に頼まれ、仕方なく話してあげることにしました。
次の日の夜のことです。
雲の切れ間から月の光が差し込むと、大きな琴のそばの岩に若い娘が座って休んでいるのが見えました。
人食い蜘蛛もそれに気が付きました。
「そこの娘。この峠を越えたければ、この琴を弾け」
「はい…
でも、私は今、とても疲れております。もう少し休んでから出ないと、琴は弾けません。」
「なぁにぃ?」
人食い蜘蛛は驚きましたが、
「まぁ、女の身では無理もあるまい。この峠は、相当キツイからなぁ。」
と、女の体力が戻るまで待ってあげることにしました。
「…さて、そろそろ琴を弾いてもらおうか?」
「なんだか、眠くなって参りました。ちょっと一眠りしとうございます。」
いっこうに琴を弾こうとはしない娘を見て、人食い蜘蛛は、だんだんイライラしてきました。
そして、とうとうしびれを切らし
しゅるしゅるしゅる…っ
琴の糸を蛇のように動かして、娘に襲いかかりました。
大きな人食い蜘蛛が、何本かの足でしっかりと娘をつかまえ、食らいつこうとした、その時です!
岩陰から昨日のお坊さんが飛び出してきて、持っていた錫杖(しゃくじょう)を人食い蜘蛛に向かって投げつけました。杖は見事に人食い蜘蛛の頭に突き刺さりました。
そしてとうとう、人食い蜘蛛を打ち倒すことに成功したのです!
娘は、きちんと着物を来ていましたが、実は、お坊さんがわらで作った人形でした。
そして娘の声は、お坊さんが一芝居打ったものでした。
こうして、旅人たちは安心して峠を越せるようになり、お坊さんが人形を使って平和を取り戻したことから、この峠を『人形峠』と呼ぶようになりましたとさ。
人形峠のまとめ、教訓と感想!
これは岡山県に語り継がれている昔話です。
でも、実は、『人形峠』は岡山県に実際に存在する有名な心霊スポットなんですよ。
未だに街頭がなく、夜になると真っ暗闇。
近くに鳥取トンネルがあるので、余計に不気味さを感じさせ、目撃談も多数あります。
こういう怖い話は、まぁ、大人になってもそうですが、子どもたちは特に、好き・嫌いがはっきり分かれます。
普段
「怖い話が聞きたい」
と強がって言う子どもでも、どのくらいの怖さレベルなら平気かは、実際に見たり聞いたりするまで、本人も分かりません。
怖いと固まってしまう子もいますので、特にアニメなどを見せる時は、必ず大人が一緒にそばで(できれば抱っこして)見てあげましょう。
そして、お子さんが『楽しくて怖い』という気持ちから『怖くて嫌だ』という気持ちに変化していないか、絶えず観察します。
お子さんが嫌な素振りを見せていたら、たとえ大人の方がお話にのめり込んで続きを見たい場合でも、アニメを見るのをやめて、別の楽しい遊びで気持ちをそらしてあげることが大切です。
なお、小さなお子さんや、過去に何かしらの心の傷を抱えているお子さんの中には、怖いお話と同じくらい、悲しいお話が苦手なお子さんもいます。
小学校低学年くらいまでは、お子さんに見せる前に、どんなお話か、うちの子が苦手なタイプのお話じゃないかどうか、チェックしてあげる必要があると思います。
はぁ…蜘蛛の目が緑色に光って、すっごく不気味で怖かったぁ(泣)
倒された蜘蛛が、シャーッと奇声を発しながら、のたうち回るシーンも、とっても気持ち悪かったし。
でも、人間をだまして食べちゃう蜘蛛を退治しちゃうなんて、このお坊さん、すごく頭がいいんだね。