座敷わらしのサクッとあらすじ!
まずは、登場人物と簡単なあらすじを見ておこう♪
- 六部(ろくぶ)…旅をしている僧(そう)。とあるお屋敷(やしき)にたどりつく。
- 孫左衛門…こころやさしいお屋敷の主(あるじ)。
- 座敷わらし…六部がお屋敷でであった子どもたち。
- むかし、旅をしている六部がとある裕福(ゆうふく)なお屋敷にたちよった。
- そこにはやさしい孫左衛門がいて、六部を泊まらせてくれた。
- 六部は夜中、お屋敷のなかでふしぎな子どもたちとであった。
- じつはその子たちは座敷わらし。六部が数年後にまたお屋敷をおとずれると、いじわるなあたらしい主を置いて座敷わらしはでていき、お屋敷はまずしくなった。
座敷わらしのあらすじ!
むかし、むかし。
陸奥(みちのく)の岩手(いわて)のおはなし。
六部(ろくぶ)といって、旅をしてまわっている僧(そう)がいました。
六部は、旅のとちゅうに、とてもおおきなお屋敷(やしき)をみつけました。
そのお屋敷はどうやら、ながくつづいているお金もちのおうち。
すごく活気(かっき)にあふれています。
日もくれてきたので、六部は泊まらせてもらうことにしました。
お屋敷の主(あるじ)、孫左衛門(まござえもん)はとてもやさしいひと。
あれこれと六部のせわをしてくれます。
その夜、六部はなかなかねむれませんでした。
こんなひろいお屋敷に泊まったことがなかったからです。
すると、しんとしたへやのどこかから、ふしぎな音がきこえはじめました。
みしみし。ぎしぎし。
六部はしばらく、その音に耳をすませていましたが、
気になってろうかへとでてみました。
「もしや、どろぼうか?」
六部がそっとつぶやいたときです。
ぱたぱたぱた!
音は、もっと大きくなりました。
まるでなにかが、お屋敷のなかをはしりまわっているようです。
しかも、ときどき音は波のようにひいていって、またちかづいてきます。
「これは、どろぼうなどではないのかもしれない。だとしたら何じゃ?」
六部が台所(だいどころ)にたどりついたときです。
びっくりすることがありました。
障子(しょうじ)のむこうで、ちいさな子どもたちがなわとびをして遊んでいます。
こんな夜中に子どもがいることが気になって、
六部はそっと障子にちかづこうとしました。
がしゃん!
六部はうっかり、つぼをたおしてしまいました。
すると、たちまち子どもたちはいなくなってしまったのです。
それっきりお屋敷はしずかになり、六部もやっとねむりについた……
はずでしたが。
六部がねていると、なんだか歌がきこえてきます。
うっすらと目をあけた六部がみたものは、さっきの子どもたちでした。
こんどは歌をうたいながら、六部のまわりで鞠(まり)をなげて遊んでいるのです。
障子ごしではなく、はっきりとみえました。
その子どもたちをみていると、ふしぎとこころがなごみます。
六部の旅のつかれが楽になっていくようでした。
「ほれほれ、そんなにはしるとあぶないぞ」
六部がつい声をかけると、子どもたちはびっくりしてとまります。
「怒っているわけではないのじゃ……、あっ」
やさしく言葉をつづけようとしたそのとき、また子どもたちは消えていってしまいました。
つぎの朝。
孫左衛門は六部に、「よくねむれましたか?」とたずねました。
そして1日目とおなじように、あれこれとせわをして、ていねいに見送ってくれました。
六部がお屋敷をあとにしてから数年後。
また近くまできたので、六部はお屋敷へたちよることにしました。
門をとおろうとしたとき、ちいさな子どもたちが走ってきます。
あれはあのときの子どもたちだ。
思い出した六部は、声をかけました。
「きみたちは、ここの子ではないのかい」
すると子どもたちがいいました。
「ここの子だった。でももうでていくから、ちがう」
「どこへいくのかな」
「となりの村の長左衛門(ちょうざえもん)のところ!」
六部がたずねると子どもたちはこたえて、そのままとなりの村へいってしまいました。
そのうしろすがたを見送り、六部が門をくぐると、
お屋敷にいたのはやさしい孫左衛門ではありませんでした。
どうやらいまは、ちがうひとがいるようです。
あたらしい主(あるじ)は、とってもいじわるで、六部を歓迎(かんげい)しませんでした。
それどころか、たくさんいじめてきます。
六部はお屋敷に泊まらずに、旅へともどりました。
そうして歩きながらかんがえたのです。
「もしかすると、あの子どもたちは……座敷わらしではないか」
座敷わらしは、おおきなお屋敷にすむ、神さまのことです。
座敷わらしはお屋敷のことを守ってくれます。
しかし、座敷わらしはあのお屋敷をでていってしまいました。
それからというもの、やさしい孫左衛門がいたころは裕福(ゆうふく)だったお屋敷が、
どんどん、ぼろぼろになりました。
そしてとうとう、すっかりまずしくなってしまったのです。
かわりに、座敷童がむかったとなり村のお屋敷は、とってもおかねもちになりましたとさ。
おしまい。
座敷わらしのまとめ、教訓と感想!
座敷童がでていってしまった理由はなんでしょうか。
やさしい孫左衛門がいなくなってしまったからかもしれません。
きっと座敷童は、いじわるなひとがいるおうちは守ってくれないのでしょうね。
このお話が教えてくれるのは、
あなたが誰かにやさしくすることも、
いじわるをすることも、
見ているひとはどこかにいるよ。
ということではないでしょうか。
そして、やさしいひとにはなにかいいことが起こるのですね。
ぼくも座敷童にあいたいな!
いいこにしていたら、いつかあえるかな?