夫婦岩のサクッとあらすじ!
まずは、登場人物と簡単なあらすじを見ておこう♪
- 清三郎(せいざぶろう)…体が大きく力が強い、荒っぽい性格の男。
- 清三郎の妻…気が強くちからもち。
- あるところに清三郎とその妻がいて、けんかばかりしていたが、ふたりとも子どものことはとても可愛がっていた。
- ある日、清三郎は瓜をひとりじめするため崖の上で食べていたが、追いかけてきた妻に瓜を投げつけようとしたとき間違えて子どもを投げてしまう。
- 子を殺してしまった夫婦は神様に教えを聞き、巨大な岩を動かすため鬼になる。
- 夫婦が運んだ岩は「夫婦岩」と名付けられ、ふたりはその岩を子どもと思い供養した。
夫婦岩のあらすじ!
むかし、岡山の成羽(なりわ)の山奥に、
木ノ村という村がありました。
この村では男たちにすもうが大人気。
ひまを見つけては国司(くにし)神社の前でたたかっていました。
清三郎はとりわけ体がおおきく、荒っぽい性格で、
いつもすもうの試合に飛び入りしては景品の酒をもとめ相手をなげとばしていました。
その清三郎の妻も、ちからもちで、気が強いひとでした。
ふたりは毎晩とっくみあいの大げんかをしていましたが、
ふたりとも幼い一人息子のことだけはたいそう可愛がりました。
ある日、妻が瓜(うり)をたくさんとって帰ってきました。
清三郎はぐうたらと酒をのみながら寝ころんでいて、妻はかんかん。
「あんたのぶんの瓜はないぞ!」
そうどなりつけました。
しかし、妻がすこし目をはなしたすきに、清三郎は息子をつれて外に出てしまいます。
瓜をひとりじめしてやろうと、崖の上にのぼって食べはじめました。
息子がいないことに気づいた妻が追いかけてくると、
清三郎は崖の上から瓜をなげつけてきます。
「これでもくらえ!」
つぎつぎと瓜がとんできます。
妻はそれでも構わず崖をのぼろうとしましたが、
そのとき。
清三郎は瓜とまちがえて、息子を崖からなげてしまったのです!
「ぼうやー!」
息子は死んでしまい、ふたりは悲しみにくれました。
国司神社へ行くと、どうしたらいいものかをたずねました。
すると神さまがでてきてこう言います。
「死んだ者は生き返らない。供養(くよう)をしなさい。谷から大きな岩をふたつ、ここへ運んでくるのです」
ふたりは言われたとおり谷へ向かい、大岩を動かそうとしました。
「うーん……! うーん……!」
あれだけちからもちの夫婦でも、見上げきれないほど大きな岩はなかなか動かせません。
しかし、亡くなった子のことを考えながら必死になっているうちに、
その頭からはにょきにょきとツノがはえ、
ツメはどんどん長くなり、
歯はするどいキバになって、
ふたりは鬼へと変身したのでした。
鬼になった夫婦はついに大岩を神社まで運ぶことができました。
神様はこの岩に子どもの姿を彫ってやり、「夫婦岩(めおといわ)」と名づけたのでした。
そして鬼になった夫婦は、村人たちを驚かせないように遠くへ行きました。
山奥からひっそりと、その岩を自分たちの子どもだと思って供養したそうです。
おしまい。
夫婦岩のまとめ、教訓と感想!
大切なものは、なくしてからでは返ってこない。
このお話は、そういったことを伝えたかったのではないでしょうか。
夫婦は鬼になるほどつよい気持ちがあるのに、もう、生きた息子には二度と会えないのです。
とても悲しいことですよね。
けんかをしないことや、なまけないでいることは難しく感じるときもあるかもしれないけれど、大事なものをずっと失ってしまうより、きっと小さな我慢ですむはずですよね。
鬼になったふたりは、今どうしているんだろう?
もうけんかはしていないのかな?