茶壺のサクッとあらすじ!
まずは、登場人物と簡単なあらすじを見ておこう♪
- 旅のお坊さん…日が暮れていたので、ある村に泊めてもらおうとする。
- 茶つぼ…夜中に本堂で飛び跳ねていた。その正体とは…?
- 一人の旅のお坊さんが宿を求めにある村に来たが、村のきまりで、民家には泊められない。村人はお坊さんに、化け物が出るという荒れ果てた寺に泊まり、何かあったら鐘を突いて知らせればいい、と言った。
- お坊さんが本堂で寝ていると、真夜中に大きな茶つぼが飛び跳ねていた。
- 茶つぼとお坊さんは「おぬしはなんじゃい」と互いに同じ言葉で押し問答を続けながら、取っ組み合いの喧嘩をした。しかし、朝を告げる一番鳥が鳴くと、茶つぼは慌てふためいて縁の下に隠れてしまった。
- お坊さんはさっそく鐘を突き、村のみんなを集めた。村人が縁の下に入ってみると、茶つぼがあり、先代の住職のへそくりを発見した。村人はそのお金で寺を立派に再建し、そのお坊さんを寺の住職に招いた。
茶壺のあらすじ!
旅のお坊さんが、ある村を訪ねて、一晩泊めてほしいと頼みました。
しかし、この村には『用心のため、旅人を泊めてはいけない』というおきてがあるため、たとえ軒の下でも、泊めてあげることが出来ません。
そこで村人は、化け物が出るというお寺に泊まるようにすすめました。
「化け物なんて怖くない」
というお坊さんに
「何かあったら鐘を突いて知らせてください。」
と、村人たちは言いました。
お坊さんが行ってみると、これまた、ずいぶん荒れ果てたお寺でした。
草がボウボウと茂っており、ぷーんとカビ臭い匂いが漂っています。
しかし、お坊さんは慣れているのか、すぐに本堂で眠ってしまいました。
バタン!
バタン!
夜中に大きな音がして、お坊さんは目を覚ましました。
見ると、大きな茶つぼ(石臼ですりつぶす前の抹茶の葉を入れておくつぼ)が動いているではありませんか!
茶つぼはお坊さんの顔を見ると、そそくさと柱の影に隠れました。
「そちはなんじゃい? なんじゃいのう!?」
とお坊さんが何度も言うと、茶つぼは出てきて
「わしは寺の茶つぼじゃ。 そっちはなんじゃい。なんじゃいのう」
と聞き返しました。
「茶つぼが、しゃべりおった!」
お坊さんはびっくりしましたが、このくらいでは負けていません。
「わしは、寺の和尚じゃい!
そっちはなんじゃい? なんじゃいのう!?」
茶つぼはぴょんぴょんと軽やかに飛び跳ねながらお坊さんの方に近寄ってくると、歌いながらお坊さんの周りを、ぐるぐる、ぴょんぴょん、飛び跳ねました。
♪わっしは、寺の、茶つぼじゃ
茶つぼじゃ
そっちは、なんじゃい? なんじゃのう!?
こうして、お互いに
「なんじゃい? なんじゃいのう!?」
と押し問答が始まりました。
と、突然、茶つぼがお坊さんに向かってダイビングアタックをしてきたではありませんか!
お坊さんはひらりと空中によけ、ガシッと茶つぼを取り押さえにかかったかと思うと、背後に投げました。
こうして、2人は、押し問答をしながら、激しく取っ組み合いを始めました。
途中で茶つぼから、にょきっ、にょきっ、と手足まで生えましたが、それでもお坊さんは、ひるまずに戦いました。
そのうち…
コッケコッコー
一番鳥が朝を告げました。
すると、どうしたことでしょう。
突然、茶つぼは、おろおろ、わたわたし始めたではありませんか。
茶つぼは床に小判を2枚落として、逃げて行ってしまいました。
お坊さんは、急いで鐘を鳴らして村人たちを集め、夜中に化け物が出たことを伝えました。
怖がる村人たちに、お坊さんは言いました。
「じゃが、そう恐ろしい物でもない。大きな茶つぼの化け物じゃった。」
「茶つぼとは、おかしいのぅ。そんなお化けがおるんじゃろうか?」
不思議がる村人に、お坊さんは、茶つぼの化け物が、仏壇の下の大きな穴から、本堂の縁の下に逃げていったことを伝えました。
そこで、村で一番体がでかい男が縄を持って、縁の下を探して歩きました。
「あった! あった!! 仏壇の下に埋まっとる!」
村人たちがみんなで力を合わせて引き上げてみると、昨日の茶つぼでした。
「さぁ、ふたをとってみなされ。怖がることはない。わしがおるから、大丈夫じゃ。」
とお坊さんが言いましたので、男はふたを取りました。
すると…
煙幕のようにほこりが舞い上がり、お茶のくさった臭いがあたりに立ち込めました。
しかし、つぼの中を見てみると、くさったお茶の葉の間に、きらきらと、たくさんの小判が埋めてありました。
昔、このお寺の和尚さんがそこに財宝を隠しておいたのです。
驚く村人たちに、お坊さんは言いました。
「誰も使わんもんで、小判の方から知らせに出てきたのじゃ。
皆の衆。
なんぞ、ためになることに使えばよかろう。」
村人たちはその小判で、お寺を以前より何倍も立派なものに建て替え、小判の秘密を解いたお坊さんには、そこの和尚さんになってもらいました。
こうして、お寺はその後、長く栄えた、ということです。
茶壺のまとめ、教訓と感想!
どっすん、どっすんと動く茶つぼはかわいらしくもありましたが、手足が生えてお坊さんと戦うシーンは、とても不気味です。
怖いものが苦手なお子さんには、少々キツイお話かもしれませんね。
お坊さんは、茶つぼに見えるお化けの正体が小判なのをつきとめるべく、そして、小判の方は、いいことに使ってもらえるちゃんとした人かを見極めるために、互いに押し問答をしながら取っ組み合いの戦いをしたのでしょう。
小判は、こんなに肝っ玉がでかいお坊さんのもとで、お寺の復興に使ってもらうことが出来て、どんなに喜んだかしれません。
昔のお寺は、人々の困ったときの悩み相談所も引き受けている場所でした。『危ないからよそ者は泊められない』というほど治安の悪い村でしたが、このお坊さんが住職に治まってからは、きっと平和な村になったのではないでしょうか。
めでたし、めでたし♪
ドキドキするお話だったけど、ラストは、めでたし、めでたし♪で終わって、本当に良かったよ。