昔話あらすじ

【大工と鬼六】あらすじをサクッと簡単にまとめてみた!

あらすじヒヨコ
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大工と鬼六のサクッとあらすじ!

まずは、登場人物と簡単なあらすじを見ておこう♪

 

大工と鬼六の登場人物
  • 大工…見栄っ張りな、橋造りの名人。
  • 鬼六…橋を架けてあげる代わりに、大工の目玉をもらうか、自分の名前を当ててみろ、と大工に迫る。
  • おかみさん…大工の奥さん。小さい赤ちゃんを抱えている。鬼六の名前の重大な手がかりを与える。

 

サクッとあらすじ!
  1. 昔、大きな川があり、どしゃぶりの雨が降るたびに橋が流されてしまって、人々は大変困っていた。そこで、橋造りの名人大工に頼みに行った。
  2. 大工が川を眺めながら橋の架け方に悩んでいると、川の中から大きな鬼が出てきた。鬼は「お前の目玉をよこせば鬼の橋を架けてやる」と言って川の中に消えた。翌日行くと、本当に立派な橋が、既に半分出来上がっていた。鬼は「明日には全部出来上がるから目玉をよこせ。嫌なら俺の名前を当ててみろ」と言う。
  3. 翌日行くと、どしゃぶりの雨にも関わらず、橋は完成していた。大工は青くなり、「このどしゃぶりに耐えられるか見てみたい。明日まで待ってくれ」と頼み込む。さぁ、大変!鬼の名前を当てなければ、本当に目玉を鬼に取られてしまう。
  4. 大工はおかみさんが歌う子守唄の歌詞を聞いて、ようやく鬼の名前を突き止める。翌日、鬼に名前を伝えると、鬼は嬉しそうに川の中に消えていった。

大工と鬼六のあらすじ!

昔、あるところに、とてつもなく流れの早い、大きな川がありました。

何度橋を架けても、大雨が降るたびに流されてしまいます。

困った人々は、橋架けの名人大工に頼みに行きました。

 

「いよっしゃ! オラに任しといてくんろ!!」

大工はつい見栄を張ってしまいました。

 

「ちょいとお前さん、大丈夫なのかい?」

大工のおかみさんが心配して聞くと

「なぁに、オラ、今まで、人から頼まれて嫌だと言ったことはねぇんだ。任しとけ!」

大工はますます、後には引けなくなってしまったのでした。

 

「…やっぱり、難しいのぅ… 弱ったのぅ…」

大工が川のほとりでしゃがみ込んでいると…

 

突然、川がとぐろを巻き、なんと、中から大きな鬼が現れました!

 

「大工どん。さっきからそこにしゃがんで、何を考え込んでいるんだ?」

鬼に聞かれて、大工はつい、橋の架け方について悩んでいることを打ち明けてしまいました。

 

「そうじゃろ、そうじゃろ。人間の力には限りというものがあるでの。

ところでの、大工どん。たった一つ、良い方法があるで。」

「と、言うと?」

思わず大工が身を乗り出すと、鬼は急に怖い顔をして

「おめぇの目玉をくれることじゃ!」

ビシッ!と、大工の目玉を指差しました。

 

「目玉をくれるなら、ワシが橋を架けてやる。

人間の及びもつかんような、鬼の橋をな!」

「鬼の橋!?」

 

びっくりしている大工を見て、鬼は高らかに笑い

「明日ここに来てみれば、よく分かるわい」

と言って、川の中に消えていってしまいました。

 

『鬼の橋』とは、一体、どんな橋なのでしょう。

 

次の日。

大工はまだ暗いうちから大川に行きました。

すると……

 

「あっ! お、鬼の橋だ!!」

 

なんと、たった一晩で、向こう岸から川の中ほどまで、本当に橋がかけられているではありませんか。

物凄く立派な橋です。

 

「おい、大工どん。驚いたかや。」

鬼が笑いながら出てきて言いました。

「目ン玉寄こすなら、明日は残りの橋も出来てるだが。」

「しかし…」

 

みんなのために立派な橋を架けてほしい。

さりとて、目玉を奪われるなんて、とんでもない。

 

大工が、う~ん、と悩んでいる間に

「よ~し、話は決まったで! 明日、また来てくんろ」

鬼はさっさと決めて、どぼん!と川の中に消えていってしまいました。

 

その次の日は、朝から嵐でした。

しかし…

 

「一体これは、この雨の中、どうやって作ったんだ!?」

 

大工が行ってみると、見事な橋が、ちゃぁんと完成していました。

 

「大工どん。

さぁ、今日は、おめぇの目ン玉もらうどぉっ!!」

鬼が川の中から現れて、大工に言い寄りました。

 

「待ってくれ! もう一日だけ待ってくれ!

オラ、この橋が、嵐の中、もちこたえるのをどうしても見てぇんだっ!!」

「ん~…

それほどまで言うなら、もう一日だけ待ってやってもええがの。

おめぇも、目ン玉が惜しかろのぅ。」

「そりゃぁ、もちろんだべ」

「実はの、その、ワシの名前を当てることが出来たらの、目ン玉許してやってもええんじゃがのぅ…

まぁ、無理じゃがのぅ…

それじゃまた、明日までなっ!」

鬼はそう言うと、川の中へ消えていきました。

 

「さすがじゃ、この嵐でも、びくともせん!!」

大工は鬼の橋の凄さに感服しました。

 

それにしても、鬼はどうして、名前を当ててみろ、なんて言ったのでしょうか。

大工は不思議な気持ちがしましたが、とにかく、名前を当てなければいけません。

 

「どうしたんだい? おまえさん」

ちっとも夕食の箸が進まない大工の姿を見て、おかみさんは聞きました。

「…あまり、食いたくねぇ…」

大工は理由は告げずに、ごろりと横になりました。

 

(鬼の名前かぁ…)

大工は必死で考え続けました。

寝室に行ってからも、ずっとずっと考え続け…

 

そうして、どのくらいたったでしょうか。

ふと、隣の部屋から、おかみさんが歌う子守唄が聞こえてきました。

 

♪ はよ寝た子には 鬼六が

目ン玉持ってやってくる

 

「目ン玉!? 鬼六!?

そうじゃ、ヤツの名前は、鬼六だったんじゃ!

こうして大工は、とうとう鬼の名前を知ることが出来たのでした!

 

次の日。

大工は朝早くから川へ出かけました。

川の水かさはさらに増してゴウゴウと流れていましたが、鬼の橋はびくともしていません。

 

「おう! 大工どん!」

「分かっとる! 名前のことじゃろう?」

大工が言うと、鬼は早く名前が聞きたくてうずうずしていました。

そこで大工は、鬼をじらせてやることにしました。

 

「やっぱり、分からんのじゃろう?」

「うーん、それがのう…」

「やっぱり分からねぇんだな! 目ン玉もらうどぉっ!」

鬼が両手で大工の顔をがしっ、とつかんだので、大工は慌てて言いました。

「まっ、待った、待った! 思い出した、思い出した!!」

 

「思い出した?」

鬼は、パッと手を離し、目をきらきらさせました。

「じゃぁ、なんて名だ?」

 

そこからも、大工は鬼の迫力に負けずに、何度かわざと違う名前を言っては、鬼が一喜一憂する姿を楽しみました。

 

「オラの名なんか、誰も知らねぇだ…

やっぱし、おめぇは…!!」

鬼が怒り心頭に発しそうになった、その時です。

 

「そうだ!

橋架けの名人、鬼六だっ!

 

鬼はこれを聞くと、瞬間、ぽかんと口を開けましたが

「はぁぁぁ…」

嬉しそうに大きな息を吐いて、じゃぼん、と背中から川の中へ倒れ込みました。

 

「うん、うん。

ありがとう!」

 

鬼は笑顔でお礼を言うと、川の中へ姿を消し、あとは大工がどんなに呼びかけても、二度と姿を現しませんでした。

 

「そうか… 名前を知ってほしかったのか…

分かるよぉ…」

大工は、しみじみとつぶやきました。

 

橋架けの名人、鬼六のかけた『鬼の橋』は、それ以後も、どんな大雨にもびくともしなかったそうです。

大工と鬼六のまとめ、教訓と感想!

『大工と鬼六』は、岩手県丹沢の昔話です。

 

私が使っていた国語の教科書にも載っていたお話で、懐かしいな…

あれ?

でも、大工のおかみさん、なんて、出てきたっけ?

 

と見ていくうちに、びっくり!

 

私の記憶の中では、大工は山の中で、鬼の子が遊びながら

 

♪早ぁやく 鬼六 まなく玉(目ン玉)

持ってぇく~れば、い~いなぁ

 

と歌っている姿を見て、鬼の名前をつきとめていました。

 

「あっ、そっちの『大工と鬼六』の方が知っている!」

と思われた読者の方もいらっしゃったのではないでしょうか。

 

調べてみると、実はこの昔話は、様々な方にリライトされているのが分かりました。

上記のあらすじは、昭和51年に『まんが日本昔ばなし』で放送された内容です。

 

どちらも、最終的には鬼と問答をし、名前を言うだけで倒しているのがすごいですよね。

これは『言霊(ことだま)信仰』から来ているようですが、『日本昔ばなし』の脚本は

『鬼が名声を上げる方を優先させた』という、とても分かりやすいオチになっています。

 

まさに、『武士は食わねど高楊枝(たかようじ)』。

まぁ、大工の目ン玉を食料として欲しがったのかどうかは分かりませんが、昔の人は『名声』や『プライド』を、とても大切にしていたのです。

 

また、おかみさんとのやりとりも、実に昔の日本男子を特徴的に表わしていると思いました。

男尊女卑、という見方もありますが

『女は男が守るもの。

女・子どもには余計な心配はかけさせない』

という強い気持ちです。

 

どんなにハラハラして声をかけても、一切事情を話してもらえないおかみさんは気の毒ですが、反面、命をかけて守ってもらえていいな、とも思いました。

あらすじヒヨコ
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ここで描かれている鬼六は、喜怒哀楽がはっきりしていて、なんだかとっても親しみがわいたよ。

最期、どうして鬼六は、せっかく大工と心を通わせあえたのに、それっきり姿をあらわさなくなっちゃったんだろう。大工と親友になれたと思うのにな。

…ハッ!

実は他の話で『鬼の子ども』と表現されているのは、実は鬼六の親分で、目玉を持ってこなかったバツを受けた、とか!?

…ちょっと考えすぎかなぁ(笑)

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