十二支の話のサクッとあらすじ!
まずは、登場人物と簡単なあらすじを見ておこう♪
- 神様…楽しいことが大好き。
- 猫…ネズミにだまされ、集まる日にちを間違える。
- ネズミ…ずる賢く、猫をだまし、牛を利用する。
- 牛…真面目で一生懸命。
- うさぎ…元気いっぱい、ジャンプ力で勝負!
- トラ…猛スピードで山をかけのぼる。
- 龍…動物と言えるかどうかは謎だが(笑)、神様の楽しい催しに参加する。
- へび…にょろにょろ、ゆっくり確実に山をのぼっていく。
- 馬&羊…仲良しコンビ。
- 犬と猿…途中までは仲が良かったが、途中からケンカしてしまう。
- ニワトリ…犬と猿のケンカをなんとか止めようとする。
- イノシシ…猪突猛進!するがあまりに…?
- 山のてっぺんに楽しいことが大好きな神様がいた。『元日に集まった12匹の動物を1年ずつ王様にする』というアイディアを思いつく。動物たちも王様になれると聞いて大興奮!しかし、猫だけは、ネズミに嘘の日にちを教えられてしまう。
- 大晦日の日から牛は出発! ほかの動物たちも、思い思いに出発して山を目指す。こうして、十二支の干支が決まり、神様と楽しく新年を祝った。
- 次の日、猫は出発しようとして、途中でリタイアしたタヌキに、日にちが違うことを教えてもらう。
- 猫は怒り、それからというもの、今でもネズミを追いかけるようになった。また、二度と寝坊しないように、顔を洗うクセがついた。
十二支の話のあらすじ!
むか~し、むかしのお話です。
ある山のてっぺんに、楽しいことが大好きな神様が住んでおりました。
もうすぐお正月。
「なんか、う~んと楽しいことはないかのぅ…」
神様が、悩みながらふと山のふもとを見下ろすと、たくさんの動物たちが見えました。
「そうじゃ! 動物たちと一緒にお正月を祝おう♪」
神様は、とびっきり素敵なアイディアを思いつき、すっかりごきげん。
山のふもとに、こんな看板を立てました。
『動物の皆さんへ
元日の朝、山のてっぺんへ来て下さい。
12番めまでにやって来た動物を、1年ずつ交代で、その年の動物王にしてあげます。
早い者順だから急いでね。
神様より』
それを見て、動物たちは大騒ぎ。
すっかりお正月が来るのが待ち遠しくなりました。
みんなの声で、昼寝をしていた猫が目を覚ましました。
「みんな、何を騒いでいるのニャ?」
気になりましたが、自分で看板を見に行くのは面倒くさい。
そこで猫は、そこにいたねずみに聞きました。
ところが…
「元日の『次の日』に、山のてっぺんまで行けば、動物の王様になれるんだって!」
ねずみは猫にウソをつき、猫はすっかりだまされてしまいました。
そして、大晦日(おおみそか)がやって来ました。
山のてっぺんが夕日に紅く染まる頃
「ボクは足が遅いからなぁ。早めに出かけたほうがいいかなぁ…」
真面目な牛は、一番早くから、のそのそ出かけていきました。
それを見たねずみは、ぴょんっ!と、うしの背中に飛び乗り、山に着くまで、背中の上で、ぐぅぐぅ眠ることにしました。
夜明け前になると、他の動物たちも出かける準備を始めました。
「私のジャンプには誰も追いつけないわよ!」
うさぎはそう言って、ぴょんぴょんと軽快に飛んでいきます。
しかし、後ろから猛烈なスピードでトラが走ってきたので、驚いて、ひぇ~っ!と脇にどきました。
「動物の王様か… 面白そうだな。
ひとつ、参加してみるか」
龍は優雅に空を飛び、へびも地面をにょろにょろはっていきました。
馬と羊の仲良しコンビは、お互いに励まし合いながら走っていました。
その頃、ニワトリがようやく目覚めました。
いつもは早く起きられるから大丈夫、と油断して、すっかり寝坊してしまったのです。
犬と猿は、途中までは仲良く走っていましたが、そのうち、負けん気に火がついて、とうとう取っ組み合いのケンカを始めてしまいました。
ニワトリは、そこを通りかかり
「こらー! ケンカなんかしてる場合じゃないでしょ!!」
と、二匹に言いました。
とにかく、動物が12匹集まってしまうまでに、山のてっぺんに到着しなければいけないのです。
と、そこへ、イノシシが、目が回るほどの猛ダッシュでやって来て、三匹を追い越しました。
そのころ。
「おぉ~、来た、来た。」
山のてっぺんにいる神様はひたいに手をかざし、遠くを見て、にこにこ笑顔。
さて、1番目にやってきた動物は何でしょう?
「はぁ、疲れたぁ~…」
一番早く出発した、真面目なウシ…
かと思いきや
「神様ぁ! ボクが一番ですよぉ!」
牛の背中の上から、ネズミが、いきおいよく、ぴょん!と前に飛び出したではありませんか!
「おぉ、ネズミが1番か。よく来たな。よしよし…
2番目は牛だな。お疲れ様」
と、神様。
「あれぇ? ネズミくん、いつの間に来てたのぉ!?」
牛はびっくりしましたが
「まぁ… いっかぁ…」
と、おおらかに、つぶやきました。
「さぁさぁ、次は誰が来るのかな?
楽しみ、楽しみ…」
神様はわくわくしながら、みんなが来るのを待っています。
3番目は、猛ダッシュしてきたトラ。
4番目は、ぴょんぴょん、うさぎ。
5番目は、優雅に空を飛んできた龍。
6番目は、にょろりん♪と、はってきた、へび。
その頃、馬と羊の仲良しコンビも、ゴールのすぐ近くまで来ていました。
「この山道には、お化けが出るって言うよ…」
ぶるぶると震える羊を、馬は
「大丈夫だって。ボクがひづめでやっつけてあげる!」
と力強く励ましました。
こうして羊も、なんとかたどり着くことが出来ました。
「馬クン、ありがとう♪
先にゴールしてよ。」
「いいのかい? じゃあ、遠慮なく。」
こうして、7番目は馬、8番目は羊になりました。
「コケッコー! まだケンカしてるの!?
そんなことじゃ、間に合わないわよっ!
先に行っちゃうからね!!」
ニワトリが言うと、猿はピタリとケンカをやめて
「へっへーん!
君たちには負けないッキャ!」
と、あっかんべーして行ってしまいました。
「私達も急ぐわよ!」
ニワトリに急かされて、犬とニワトリは同時にゴールに到着しました。
「おお、同時に着いたか。
猿が9番目じゃから…
ん~と、ニワトリが10番、犬が11番じゃ。
猿の次が犬では、またケンカになるからな!」
と、神様。
神様には何でもお見通しなのです。
さて。
最期の一人は誰でしょう?
ゴォォォォ!!
砂煙を上げながら猪突猛進してきた、イノシシでした。
「いやぁ。間違って違う山に登ってしまったんですわい!」
とイノシシは、ほっぺを真っ赤に染めて、神様に報告しました。
王様が決まったところで、みんなで元日のお祝いをしました。
次の日。
猫は昼寝から覚め、そろそろ神様のところへ行こうか、と思いました。
隣ではタヌキが寝ています。
「おーい、タヌキくん。そろそろ行かなくていいのかい? 間に合わないぞぉ?」
猫が話しかけると、タヌキはのんびり答えました。
「なーに言ってるの、ネコくん。もうとっくに終わってるよぉ…
ボクは途中で面倒くさくなってさぁ…
寝たふりしてるんだよぉ…」
タヌキに聞いて、ようやくネコは、ねずみにだまされていたことに気が付きました。
こうして
『子(ね。ネズミのこと)・牛・寅(とら)・卯(う。うさぎのこと)・龍(たつ)・巳(み。へびのこと)・馬・羊・猿・鳥・犬・猪(い。イノシシのこと)』
と続く十二支が始まりました。
そして、ネズミのせいで十二支に入れなかった猫は怒って、それ以来、ネズミを見ると追いかけるようになりました。
猫が前足でごしごし顔を洗うのも、二度と寝坊しないようにするため、なんだそうですよ。
十二支の話のまとめ、教訓と感想!
『子(ね)・牛・寅(とら)・卯(う)・龍(たつ)・巳(み)・馬・羊・猿・鳥・犬・猪(い)』
年賀状を書く時に慌てずにすむように、この十二支の順番はぜひとも覚えておきたいことですね。
子どもは何でも知りたがるので
「今年はイノシシで、来年はネズミ? どうして?」
と聞かれたときには、この昔話を話してあげましょう。
『馬・羊・猿・鳥・犬・猪(い)』のあたりが、なんとなく覚えづらいのですが
「馬と羊は仲良しさん。
猿と犬は仲が悪いから、間に鳥が入ってる」
と、ストーリー通りに追えば、もう間違う心配もありませんね。
それにしても、ネズミはずる賢いですね。
ライバルを減らすために猫に嘘を教え、真面目で気のいい牛の背中の上で居眠りしながら一番にゴールしちゃう、なんて。
よく言えば
『牛が一番になる、という先見の明があった』
ということでしょう。
が、牛だったからよかったものの、トラにやったら、怒って食べられてしまっていたかもしれません。
それとも、もしかしたらネズミは、そこらへんも考慮して牛の背中で寝ていたのでしょうか?
嘘をついたり、なまけたりするのはいけませんが
- 自分を取り巻く状況を、自分を含めて客観的に判断する力
- 体の小さな自分が、どうやったら大きな動物たちの仲間入りをすることが出来るのか、考える力
- 相手の気持ちを見抜く、鋭い洞察力
は、ぜひとも身に着けたい能力ですね。
また、猫がどうしてネズミにだまされてしまったか、というのもお話のポイントです。
ネズミが悪者に上げられていますが、なんてことはない。
ネズミに言われたことを頭から信じないで、自分の目で看板を確かめれば、だまされることなんてなかったのですから。
猫だって悪いところはあるのです。
『何が真実で、何が要らない情報かを見極める力』
これは本当に身に着けるのが難しい力ですが、新聞、雑誌、TV、ネットなど、雑多な情報にまみれている私たち現代人にとって、最も重要な力だと思います。
馬クン、かっこいいなぁ。羊さんを毅然と守る、この男らしさ!
羊さんも、優しいね。馬クンが守ってくれたことへの感謝のしるしに、順番を譲ってあげるなんて。
ボクは、この2匹のペアが一番好きだよ。