昔話あらすじ

【しゅのばん】昔話のあらすじをサクッと簡単にまとめてみた!

あらすじウサギ
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しゅのばんのサクッとあらすじ!

まずは、登場人物と簡単なあらすじを見ておこう♪

 

しゅのばんの登場人物
  • 大工…つまらない毎日を壊したいと願い、あちこちの居酒屋のおかみさん達を口説き回っていた。
  • 犬…大工が家に帰るときに必ず出会う。
  • 女房…毎晩飲み歩く大工にため息をつきながらも、けなげにつくす。

 

サクッとあらすじ!
  1. 大工は、毎日、閉店間際で他のお客さんがいない居酒屋にやって来ては、酒をついでもらいながら、居酒屋のおかみさんを口説き回っていた。帰り道には犬に会うが、吠えようがどうしようが「寝ろ!」と一喝してしまう。家では大工の女房がため息をつきながら待っていた。
  2. 男はつまらない毎日にうんざりしていた。おかみさんの気持ちも知らないで、この平凡な毎日をどうにかしてぶち壊したいと願っていた。しかし、やり方がわからなかった。
  3. ある日、大工は『しゅのばん』に会い、恐怖の一夜を過ごす。しかし、女房だけは『しゅのばん』になっていなかった。助かった大工は、初めて、女房の顔をまじまじと見つめた。
  4. 『しゅのばん』に会ってこりた大工は、改心して、二度と居酒屋で遊びまくることはしなくなった。仕事にも精を出し、女房とつつがなく幸せな毎日を送った。

しゅのばんのあらすじ!

むか~し、むかしのことでした。

あるところに、一人の大工がおりました。

男の唯一の楽しみは、他のお客さんがいなくなった閉店間際の居酒屋に行って、居酒屋のおかみさんにちょっかいをかけることでした。

 

ときには

「今度、二人っきりで旅に出ようや」

などと口説くこともありました。

 

しかし、どこの居酒屋のおかみさんも巧みに男からの誘惑をかわして、最後には

「またいらしてね~」

と手を振ってしまうのでした。

 

帰り道には、いつも犬に吠えられました。

しかし、男は全く動じず

「うるせぇ!! お前も寝ろ!」

と、一喝して犬を蹴散らしました。

 

家に帰ると

「あら、あんた。お帰りなさい。」

女房がにこにこしながら、寝ないで男の帰りを待っていました。

しかし男は、ろくすっぽ口も聞かずに寝てしまいました。

 

「ふぅ…」

毎晩飲み歩く男に、女房は深い溜め息をつきました。

しかし男は、そんな女房の気持ちさえ、これっぽっちも思いやってあげることはありませんでした。

 

 

(生きていることがつまらない。

働くことがつまらない。

つまらない暮らしから逃げ出したい!!)

生れてこのかた、『なんとなく』で生きてきた男の頭の中は、その思いで埋め尽くされていました。

しかし男には、逃げ出す方法が分かりませんでした。

 

 

その夜も、男はいつものように、いかにもつまらなそうな顔をしながら居酒屋へ足を向けました。

 

「あら、いらっしゃい。」

女将さんは男に背中を向けたまま、言いました。

 

「今夜は朝まで飲み明かそうや」

「お前さんが一晩中飲みたい相手は、このあたしかい?」

女将さんが、そう言ってくるりと振り向くと…

 

なんと!

女将さんの顔は真っ白で、目も口も鼻もないではありませんか!

 

男がぎょっとして固まっていると

「ふふふふふふふ…」

女将さんの顔は見る間に真っ赤に染まり、ぐにゃぐにゃと変形し始めました。

 

ぎょろりと光る黄色い目玉。

耳まで裂けた口。

額には角が一本生えています。

 

「はははは、はははは…」

女将さんはワニのようにギザギザの鋭い歯を、かちかち鳴らせて笑いました。

「しゅのばん…」

 

「うわぁぁぁぁっ!!」

男の全身から、どっと冷や汗が流れ落ち、男は悲鳴を上げて逃げ出しました。

 

「女将!

大変じゃぁっ!!」

男が向かったのは、『一緒に旅に出よう』と口約束した居酒屋の女将の所。

 

「あら、いらっしゃい。」

女将は、笑いながら、くるりとこちらを向きました。

真っ白の、のっぺらぼう!

 

「はははは、はははは…

お前さんが旅をしたいのは、この私か?」

言いながら、女将さんの顔が、ぐわぁっ、と真っ赤な鬼の形相に変わりました。

「しゅのばん…!!」

 

「あぁぁぁぁっ!!

助けてくれぇっ!」

急いで家に向かう男は、うっかり、いつもの野良犬のしっぽを踏んでしまいました。

すると…

 

犬の全身は真っ赤になり、

「しゅのばん…!!」

オオカミのような鋭い牙をガチガチ鳴らしながら男に向かってくるではありませんか!

 

「助けてくれぇっ!」

男は女房が待つ我が家に向かって走りました。

 

「あらま。お帰りなさい…」

女房も、背中を向けたまま、静かに言いました。

 

まさか、女房まで…!!

男はガクガク震えながら後ずさりました。

が…

 

「どうしたんじゃ? あんた」

くるりとこちらを向いた女房の顔には、ちゃんと、目も鼻も口もありました。

 

「お、お前は、しゅのばんじゃねぇよな…!?」

男は、初めて女房の顔をじぃっと見つめました。

 

「何を言ってるの?」

いつもと変わらぬ女房の姿に、男は心の底から安心し、そのまま気絶してしまいました。

「あんた、こんなところで寝たら風邪ひくよ…

あんた…」

 

 

そうして、なんとなく次の朝が来ました。

けれども、もう男にとっては、『なんとなく過ぎていくつまらない日常』ではなくなっていました。

女房と食卓を囲みながら、男の胸は、ほっこりと温まりました。

女房と二人、にこにこ微笑みあいました。

 

 

昨夜出くわした『しゅのばん』というのは、一体、どういう化け物だったのでしょうか?

 

いずれにせよ、男はあの晩から改心して、女房のために精を出して働くようになり、もう二度と居酒屋へは行かなくなった、ということです。

しゅのばんのまとめ、教訓と感想!

これは福島県で語り継がれてきた昔話です。

怖い話が好きな子でもトラウマになるような、なんとも怖いお話ですね。

このお話を語るなら、適齢期は、小学校中学年から、といった所でしょうか。

 

こういうような怖いお話を語り聞かせたり、TVを見せる時は、必ず親がそばで見守っていてあげましょう。

可能であれば、膝の上で聞かせてあげるといいですね。

 

怖いものが好きな大人は、こういう話を語り出したり、TVで見かけると、ついつい最後まで見たくなってしまいますよね。

しかし、そういうときこそ、子どもの様子をよく観察することが大切です。

 

あんまり怖がるようなら、途中でストップしてあげましょう。

そうして、子どもが好きそうな楽しいお話をしたり、子守唄を歌って気分転換をはかり、ぜひ安心させてあげて下さい。

 

くれぐれも、怯えた気持ちのまま寝かしつけないでくださいね。

夜中にトイレに起きてしまった時、子どもが大変なめにあってしまいますから…

 

 

それにしても、『しゅのばん』って、本当に、どういう化け物なのでしょう?

 

このお話では、男を驚かせて改心させ、一家に安泰をもたらしてくれたので、なんだか良い化け物のようにも思えてしまいますよね。

 

 

ところが、どっこい。

調べてみると、とんでもないことが分かりました。

この化け物は、単に恐ろしい見た目で驚かせるだけではなかったのです!

 

 

『しゅのばん』は、漢字では『朱の盤』や『首の番』と書きます。

福島県だけではなく、新潟県の里にも出没します。

 

『諸国百物語』や『老媼(ろうおう:おばあさんのこと)茶話』によると、『しゅのばん』に会ってしまった若い若い武士は、100日間も寝込んだ挙げ句に、とうとう死んでしまいました。

 

そう。

真っ赤な顔に、鋭い目を持つこの化け物は

『見たものを震え上がらせ、その場でショック死させたり、魂を抜いてしまう』

という恐ろしい能力を持っていたのです!!

 

 

では、なぜこのお話の『しゅのばん』は、こんなにもやる気のない男を生かしておいてあげたのでしょうか?

 

ふにゃふにゃに見える、このやる気のない男の魂は、実は強かったということでしょうか?

それとも、よほど強力な守護霊が男を守っているのでしょうか?

 

『守護霊』と考えると、なんだか納得できますね。

可哀想な奥さんを救うために、わざと男に『しゅのばん』を見せて、男にカツを入れたのです。

キツネかタヌキが『しゅのばん』に化けていたのかもしれません。

 

 

しかし、『しゅのばん』は、このお話以外にも、別の顔を見せています。

 

『ゲゲゲの鬼太郎』で扱われた時は、鬼太郎の宿敵、悪の組織の親玉の『ぬらりひょん』のしもべとして准レギュラーの座を射止めているのです。

 

そこでは『しゅのばん』ではなく『朱の盆(ぼん)』という名前で登場しました。

妖怪同士の先頭では目立った功績を残せず、それどこか、『どこか間抜けで憎めない妖怪』を演じています。

 

 

一体、どちらが本当の顔なのでしょうか。

なんとも不思議な化け物ですが、最悪、命を奪われてしまうことを考えると、やっぱり、会いたくないですよね。

あらすじウサギ
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ぶるぶるぶる…

怖かったぁ…

トイレに行けなくなっちゃうよぉ。

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