牛若丸のサクッとあらすじ!
まずは、登場人物と簡単なあらすじを見ておこう♪
- 牛若丸…源氏(げんじ)の大将、源義朝(みなもとのよしとも)の息子。
- 鞍馬山(くらまやま)の大てんぐ…ある日、牛若丸に真実を伝える。
- 武蔵坊弁慶…五条橋(ごじょうばし)の上で通行人から刀をうばう大男。
- むかし、源氏は平氏(へいし)との戦いにやぶれたが、牛若丸は命をとりとめ寺へあずけられた。
- 自分が源氏の大将の息子だと知らず過ごしていた牛若丸は、てんぐに自分が源義朝の息子だと教えられる。
- 父のかたきをとるため武士として強くなり、みやこへ出た牛若丸は、五条橋の上で弁慶と出会う。
- いつしか牛若丸は源義経という名前になり、弁慶は義経のことをずっとそばで守り続けた。
牛若丸のあらすじ!
今からおよそ、850年ほど前のこと。
そのころ日本には、“源氏”(げんじ)と“平氏”(へいし)という、
さむらいたちの二大勢力がありました。
源氏と平氏は、各地でそれははげしい戦いをしていました。
そしてついに、源氏の大将・源義朝(みなもとのよしとも)が
平氏にたおされたのでした。
妻の常盤御前(ときわごぜん)はまだおさない三人の子どもをつれて、
都からはなれます。
しかし、とうとう平氏につかまってしまい、
平氏の大将・平清盛(たいらのきよもり)の前につきだされたのです。
「清盛どの。わたくしの命はすきになさってください。ですが、どうかこの子たちだけはお助けくださいませ」
清盛は、もともと、子どもたちを殺してしまうつもりでした。
大きくなると平氏にさからうかもしれないからです。
けれども、常盤御前の子をおもう気持ちにまけて、子どもたちを助けることにしました。
「わかった。しかし、子どもたちは武士にしてはならぬ。寺にあずけ、坊主にせよ」
こうして、7才の今若(いまわか)、5才の乙若(おとわか)はすぐに寺へあずけられました。
いちばんおさない牛若も、7才になったらすぐ寺に入ることに決まります。
さて、時がたち、牛若丸は鞍馬山(くらまやま)のお寺で修行をはじめました。
牛若丸はまじめに鍛錬(たんれん)していましたが、
さみしくなるとひとり、笛をふいて気をまぎらわせていました。
そんなある日のこと。
牛若丸がいつものように笛をふいていたとき、
ぶわっ!
と風がおこり、なにかがとんできました。
「なにものだ!」
牛若丸が上を見ると、そこには、顔がまっかで羽のはえた男がいました。
「わしは、鞍馬山にすむ大てんぐである!」
「てんぐが何の用だ!」
牛若丸はひるまず、てんぐをにらみつけます。
するとてんぐは、びっくりすることを言うのです。
「牛若丸。おまえの秘密を教えてやろう。おまえは、源氏の大将の息子なのだ!」
「な……なんだって」
「おまえは強くなり、おごりたかぶる平氏をこらしめなければならぬ。さあ、これから毎日、わしの手下と刀のけいこをするのだ!」
それからというもの、牛若丸は来る日も来る日も、手下のてんぐたちと刀を練習しました。
そしてついに、手下のてんぐたちはだれも、牛若丸に勝てなくなりました。
15才になった牛若丸は、そっと寺をはなれ、都へと向かうことにします。
そのころ都では、武蔵坊弁慶(むさしぼうべんけい)という大男が、
夜な夜な五条橋(ごじょうばし)の上にあらわれ、こわがられていました。
弁慶は、通行人の刀を、1000本になるまでうばいつづけているのです。
「あつめた刀はこれで999本……。こよいで待ちに待った1000本目だ、かならず立派な刀を手に入れよう」
弁慶が橋の上で待ちかまえていると、そこにうつくしい少年が笛をふきながら通りかかりました。
「おい、きさま! それこそ、1000本目にふさわしい刀! おいてゆかねば、うばいとる!」
その少年は牛若丸でした。
牛若丸は、あわてずに、しずかに言いました。
「おまえが、世をさわがせている乱暴者だな。しかしおまえに、わたしの刀がとれるかな」
牛若丸の言葉におこった弁慶は、ぶんぶんと薙刀(なぎなた)を振り回しておそってきます!
ところが、弁慶のこうげきはまったく牛若丸にあたりません。
牛若丸はかろやかに、橋の上で宙返りをしてよけます。
どれだけ武器をふるっても傷ひとつつけられないので、弁慶はすっかり、まいってしまいました。
「これは私の負けだ。強いお方、あなたのおなまえは?」
すっかりかしこまった弁慶が、ひざをついて牛若丸に問いました。
「わたしは牛若丸。源義朝の息子です。父の無念をはらし、平家をこらしめるため、みやこへ出てきたのです」
「な、なんと! 源氏の若大将でござったか。じつは、この弁慶が刀をあつめていたのも、源氏をたてなおすため……。
若さま、どうかこの弁慶をあなたの家来にしてください!」
こうして弁慶は、牛若丸の家来となり、ずっと牛若丸のことを守りつづけました。
牛若丸はのちに源義経(みなもとのよしつね)となり、兄の頼朝(よりとも)とちからをあわせて、
壇ノ浦(だんのうら)のたたかいで平氏をたおすことができるのですが……
それは、またべつの機会に、ゆっくりお話ししましょう。
牛若丸のまとめ、教訓と感想!
牛若丸とてんぐ、牛若丸と弁慶の出会いには、このお話以外にもいろんなパターンがあるようです。
ただ、舞台となったのは京都のようですね。
もし京都に行くことがあれば、「ここで牛若丸と弁慶がたたかったのかな?」など、考えてみるのも楽しいかもしれませんね。
義経となった牛若丸は、このあとどうなるんだろう?
お父さんのかたきをうったあとは、楽しくすごせたのかな?