昔話あらすじ

【山姫】昔話のあらすじをサクッと簡単にまとめてみた!

あらすじゾウ
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山姫のサクッとあらすじ!

まずは、登場人物と簡単なあらすじを見ておこう♪

 

山姫の登場人物
  • 山姫(やまひめ)…屋久島(やくしま)の山奥、地獄谷(じごくだに)に住むという妖怪。美しいが恐ろしいお姫様。
  • たすけ…一人前になりたての竹細工職人。大きな竹で立派な竹細工を作ってもうけるために、地獄谷へ向かう。
  • きすけ…たすけの同僚。島の人達は恐れて誰も近づこうとしない地獄谷へ向かうたすけを、ひきとめようとするが…

 

サクッとあらすじ!
  1. 『地獄谷には山姫という恐ろしいお姫様がいる』という噂があった。しかし、竹細工職人になりたての『たすけ』は、立派な竹を求めて地獄谷へ立ち入ろうとする。きすけは最初は引き止めていたが、たすけの後を追って行ってしまった。立派な竹林を発見した二人は、夢中で竹を取った。
  2. 雨が降ってきて、二人は茂みに入って雨宿りする。雨脚はどんどん強まり、雷もひどくなってきた頃、竹林の中から女の笑い声が聞こえてきた。
  3. ついに山姫と遭遇!きすけは見ないように地面に伏せるが、たすけは山姫に謝って怒りを解いてもらおうとする。しかし、山姫の力にかなわず、たすけは山姫に笑い返してしまった。
  4. いなくなってしまった、たすけ。きすけは一生懸命、たすけを探す。

山姫のあらすじ!

むか~し、むかし。

鹿児島県にある屋久島(やくしま)の山奥に『山姫』がいる、という怖い噂がありました。

山姫は、とても美人なお姫様。

けれども、『山姫に笑い返してしまうと、二度と山から帰れない』というのです。

 

さて、山里に、『たすけ』と『きすけ』という二人の若い竹細工職人がおりました。

二人はようやく修業を終えて一人前になったばかり。

大竹で細工物を作り、早く一旗揚げたくて仕方がありませんでした。

 

ある日二人は、宮の村の向こうの地獄谷の方に竹を取りに行きました。

 

「のぅ、たすけ。ここいらの竹でどうじゃ?」

きすけは言いましたが、たすけは満足できません。

雨が多い島なので、もっと奥の方に行けば、もっと素晴らしい竹が見つかると思っていたのです。

 

「…じゃが、ここから先は地獄谷じゃ。これ以上奥に入ると、山姫が出るぞ」

進んでいくうちに、きすけはどんどん気味が悪くなってきて、何度もたすけを止めようとしましたが…

 

「なぁに、出たら出たで、その時じゃ。

ひともうけしたいと言ったのは、お前の方じゃろが。」

たすけは、あくまでも強気です。

島の者が誰も入ったことのない地獄谷の方へ、ずんずん進んでいってしまいました。

きすけも、置いて行かれてはたまらんと、険しい山道を、一生懸命についていきました。

 

「あぁっ! あったぁ!

なんと、見事な竹じゃ! 胴回りも、これなら三尺はあるぞ!」

たすけの言うとおりでした。

崖の上には、深い森の茂みに囲まれた、立派な竹林があったのです!

 

「こげな太い竹、わしゃあ、今まで見たことがねぇ!」

きすけも目の色を変えました。

 

二人は喜び勇んで竹林に駆け寄ると、中でも立派な大竹を狙って、一心不乱に斧をふりかざしました。

 

「…さぁ、こんだけありゃあ、十分じゃろう。

きすけ、そっちはどうじゃ?」

「こっちも、もうすぐじゃ。」

「急げや。さっきから、何やら、雲行きが怪しくなってきたぞ…」

たすけが言うが早いか、雨が降り出してきました。

二人は慌てて茂みの下で雨宿りをしました。

雨はしだいに激しさを増し、雷まで鳴っています。

 

「何をびくびくしておる。ただの雷じゃ。」

怖がって震え上がるきすけを、たすけは優しくなぐさめました。

と、その時です!

 

「ふっ、ふっ、ふっ、ふっ…

ふっ、ふっ、ふっ、ふっ…」

 

「たすけ! 今、笑い声が聞こえんかったか?」

「いや、何も聞こえんかった。」

 

「ほっ、ほっ、ほっ、ほっ…

ほっ、ほっ、ほっ、ほっ…」

 

「ほら、やっぱり聞こえてくる…!!」

 

今度はたすけにも笑い声が聞こえました。

薄暗い竹やぶの奥から女の笑い声が響いてきます。

 

二人は、じっと目を凝らしました。

 

「ほっ、ほっ、ほっ、ほっ…

ほっ、ほっ、ほっ、ほっ…」

 

甲高く笑う声に、凄まじい雷鳴が重なって、きすけは、ひぇっ!と首をすくめました。

 

ピカッ!

閃光で照らし出された、着物姿の女の人…

 

「山姫じゃぁっ!」

きすけは叫びました。

 

雪のように真っ白な肌に、長い髪。

山姫は裸足で、こちらへ近づいてきます。

 

「あああっ!」

きすけは、とっさに地面に身を伏せました。

たすけは驚きのあまり、立ったまま固まってしまっています。

「たすけ! 伏せるんじゃよ! 山姫を見つめちゃいかん!!」

 

きすけの声に、たすけはハッと我に返って後ずさり

「ああっ!」

切った竹に足を取られて後ろ向きにひっくり返りました。

が、すぐに起き上がると、山姫をしっかり見つめて言いました。

 

「すまん!

竹を黙って切ってすまんかった。

これは返す!

ここにも二度と来んから、許してくれぇ!!」

 

しかし…

 

「ほっ、ほっ、ほっ、ほっ…

ほっ、ほっ、ほっ、ほっ…」

 

山姫は、ただただ、甲高い声で笑うばかり。

 

そのうちに、たすけは、山姫の笑い声に飲み込まれ

「ははははは…」

笑いたくない気持ちとは裏腹に、とうとう笑いだしてしまいました。

 

ピカッ!

稲光が走り

「うあぁぁぁぁ…!!」

たすけの悲鳴が響いて…

 

ふいに、ぴたりと雨がやみました。

陽の光がさして、あたりは、嘘のように、しーんと静まり返っています。

 

そのときになって、きすけは、ようやく、おずおずと顔を上げ、周囲を見渡しました。

 

「たすけ…?

たすけっ!

たすけが、おらんっ!! どこ行ったんじゃ!?」

 

きすけは慌てて竹林を出ると、たすけを探し回りました。

しかし、どんなに探しても、どこにもきすけは見当たりません。

どんどん日が暮れていき、山の中は暗くなっていきます。

きすけは仕方なく、一人で山道を下っていきました。

 

「…やっぱり、下の方の小さな竹で我慢するんじゃった…」

きすけが後悔しながら谷にかかる木の橋を越えた時です。

 

「ううう…」

谷底から、かすかに、たすけのうめき声が聞こえました!

 

「たすけぇっ!」

きすけは走り寄ると、ボロボロになった、たすけの体を抱き起こしました。

「たすけぇ、しっかりせんかぁっ!!」

「きすけかぁ…?

…やっぱり、お前の言うた通りじゃった…」

 

きすけは、たすけを背負って家に帰りました。

その間、たすけは、ずっと

「山は怖ぇぇ…

山は怖ぇぇ…」

と、つぶやき続けたそうです。

 

この話を聞いた島の人達は

『それはきっと、山姫の怒りに触れたんじゃ』

と噂しあいました。

そして、それからというもの、山奥に入って荒らすようなことは、より一層しなくなった、ということです。

山姫のまとめ、教訓と感想!

山姫は、女の姿をした山の妖怪です。

 

『出会ったが最後、生き血を啜(すす)られて死んでしまう』

というから恐ろしいですね。

たすけと、きすけは、トラウマになってしまうほどの、かなり恐ろしい体験はしたものの、奇跡的に一命をとりとめることが出来たのです。

 

『山姫』は、またの名を『山女(やまおんな)』と言います。

屋久島では『ニイヨメジョ』とも言うそうです。

 

特に鹿児島県に多くの民話が語り継がれていますが、実は、山姫が出没した話は、熊本県、宮城県、大分県、高知県、岩手県にもあります。

 

では、山で実際に山姫に遭遇してしまったら、どのように対処すれば良いのでしょうか?

 

きすけは、ただただ身を伏せていました。

しかし、あれは、たまたま『たすけvs山姫』になったから助かっただけのように思えます。

もし一人でいるときに遭遇してしまったら、と考えると、きすけの方法は、とても良い方法には思えませんよね。

ずっと耳元で笑われ続けてしまったら、と考えると、ぞっとします。発狂してしまうかもしれませんし、その前に生き血を吸われてしまうかもしれません。

 

鹿児島県に伝わる、山姫に会ったときの対処法は、以下の4つです。

  1. 山姫が笑う前に先手を打って笑う
  2. 山姫を、にらみつける
  3. わらじの鼻緒を切ってつばを吐きかけ、それを山姫に投げつける
  4. サカキの枝(神事に用いられる枝)を振る

 

う~ん…

 

まず、1は無理そうですね。

何も面白くないのに、相手が不気味に笑って、初めて『山姫』だと分かるのですから。

「見境なく先手を打って笑わなければいけない」、となったら大変です。もし一般の登山客に、突然、高らかに笑ってしまった場合、こっちが怪しまれて不審人物だと思われてしまう危険性が高いです。

 

3や4も、クマ避けの鈴のようにリュックの中に入れておくのか…?

というより、キリスト教など他の宗派の人が、サカキの枝を振って効果があるのか…?

と考えると、とても現実的とは思えません。

 

そして、このお話を読んで、なにより気になったのは、山姫は

『人間の好き勝手で、いたずらに森林伐採しようとする輩から、山の動物たちを守ろうとしているだけなのでは?』

という点です。

 

そう考えると、妖怪とは言え、お姫様に向かってにらみつけたり、つばを吐いた汚い鼻緒を投げつけるなんて、もっての他です。

あまりにも可哀想…

というか、逆に怒りを買って襲われてしまうような気がしますが、どうなのでしょうか。

 

しかし、じゃあ、やられたたすけは、山姫に成敗されなければいけないような悪い奴なのか…

というと、人間の目線から見ると、決してそうではありませんよね。

 

先に

「大きな竹を使って、立派な竹細工を作り、一旗揚げたい」

と言い出したのは同僚のきすけの方です。

たすけは、きすけを名人にするために勇敢に竹を取りに行った、仲間思いの勇者にも見えます。

 

雨が降りそうなことに先に気づいたのも、たすけですし、いたずらに怖がるきすけを優しく励ましてあげています。

そして、山姫に会ってしまったときも、きすけのようにただ怖がるのではなく、誠意を持って謝罪し、二度としないという誓いまで立てています。

冷静沈着な判断が出来て、勇気もある、なんて頼もしい相棒でしょうか。

人間が出来ているなぁ、と感心しました。

 

しかし、山姫は、鼻っから、たすけの話なんて聞かずに、ただただ、妖力で亡き者にしようとしてしまう。

妖怪なので、人間の言葉が通じなかったのかな…

と、悲しくなりました。

 

それでも、たすけときすけが、なんとか無事に生還出来たのは、山姫の、せめてもの優しさでしょうか。

それとも、この二人を見逃すことで、生き証人にして、村人達に改めて存在を知らしめるためでしょうか…

 

いずれにせよ、とても怖い怪談話です。

『日本昔ばなし』の動画を見ると、その迫力に圧倒されました。

 

怖い話が好きな大人の人でも、この話をされたあとで

「屋久島にキャンプに行こう」

と誘われたら、思わずためらってしまうレベルです。

 

感受性の高いお子さんなら、なおのこと。

『閲覧注意』だな、と思いました。

あらすじゾウ
あらすじゾウ

最初は、たすけに『おんぶに抱っこ』のきすけだったけど、いざ、たすけがやられてしまってからは、一生懸命助けて、頑張ったね。男っぷりが上がったかな。

やっぱり、支えあえる『仲間』って、素敵だね。

絵本おばあちゃん
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