キジも鳴かずばのサクッとあらすじ!
まずは、登場人物と簡単なあらすじを見ておこう♪
- 弥平…千代の父親。娘のために盗みをするがばれて人柱にされてしまう。
- 千代…自分の蹴鞠歌(てまりうた)のせいで父親の罪がばれてしまい泣き暮らしていたが、ある日何もしゃべらなくなってしまう。
- 犀川(さいがわ)の氾濫のせいで毎年多くの人が死んでいた。
- 弥平は千代のために一掬いの米とあずきを盗んだが、千代の歌から弥平の盗みがばれ、罰として人柱になった。
- 千代は泣き続けたが、ある日を境に何もしゃべらなくなってしまった。
- 「キジも鳴かなければ撃たれなかったのに」という言葉を残して千代は姿を消してしまった。
キジも鳴かずばのあらすじ!
昔々、犀川(さいがわ)という川があり、そのほとりに村があった。
この村は毎年、川の氾濫に苦しめられ多くの人が亡くなっていた。
さて、この村に弥平と千代という父子がいた。
母親は洪水でなくなっていた。
2人はとても貧しかったが幸せに暮らしていた。
雨の季節になった。
千代は病に倒れ日に日に衰弱してしまった。
千代は粟の粥ではなく、あずきの粥が食べたいという。
あずき粥はまだ母親が生きていたことたった1回だけ食べたことがあるごちそうだった。
だが、弥平にはあずきが買える金なんてない。
でもなんとかして娘の希望を叶えたかった弥平はその夜、地主のところから一掬いの米とあずきを盗んでしまった。
あずき粥を食べた千代はみるみる元気になった。
そして鞠をつきながら「あずきまんま食べた」と歌う千代。
だが、この歌が元で弥平の盗みがばれてしまった。
なんと
弥平はその罰として川の氾濫を鎮めるための人柱にされ土手に埋められてしまった。
たった一掬いの米とあずきで…。
同情する人は多かったが、誰にもどうすることもできなかった。
自分の歌のせいで父親が死んだことがわかった千代は何日も何日も泣き続けた。
その泣く声は村人の胸を突き、村中に響き渡った。
だがある日、千代はぷっつりと泣くのをやめた。
それどころか口をきかなくなり、村人が話しかけても一言も話さなくなってしまった。
それから何年もの月日が流れた。
千代はだんだんと大きくなったが、貝のように押し黙ったまま一言もしゃべらなかった。
それからまた何年かの月日が流れた。
そのころになるともう千代の姿を見かけるものがほとんどいなくなった。
そんなある日のこと、猟師が1人山に入って、キーっと鳴いたキジを打った。
猟師が撃ち落としたキジを取りに行くと、死んだキジを抱いた千代がいた。
「キジよ。お前も鳴かなければ撃たれなかったのに。」
千代は自分の蹴鞠歌のせいで死んだ父親を思ってそうつぶやいたのだった。
千代はそのまま姿を消した。
ただ千代の残した最後の言葉はいつまでもいつまでも村人たちの間で語り継がれたのでした。
キジも鳴かずばのまとめ、教訓と感想!
「雉(きじ)も鳴かずば撃たれまい」ということわざの基になったお話です。
このことわざには
「無用の発言をしたばかりに自ら災いを招く」
という意味があります。
このお話も千代が歌わなければ父親の罪が知れることは無かった。
しかし、父親は娘のため、娘もそんな父親が大好きだからこそ起ったこの悲劇。
とても悲しいこのお話から、人々はこれを教訓とし、現代まで伝わる教訓となったのですね。
か、悲しい…。
ずっと自分を責め続けた千代。
キジの姿に自分と父親の姿が重なったんだね。
人柱って昔の風習は怖すぎる…。