昔話あらすじ

【しばられ地蔵】昔話のあらすじをサクッと簡単にまとめてみた!

あらすじウサギ
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しばられ地蔵のサクッとあらすじ!

まずは、登場人物と簡単なあらすじを見ておこう♪

 

しばられ地蔵の登場人物
  • お地蔵様…村外れの樹の下に立っていた。
  • 小僧さん…お地蔵様がいる樹の下で眠り、大切なお届け物を盗まれてしまう。
  • お役人さん…小僧さんの話を聞き、お地蔵様を犯人だと決めつけてひっとらえる。
  • お奉行様…お裁きをするが、村のみんなに笑われてしまい…

 

サクッとあらすじ!
  1. ある日、小僧さんが、大旦那の言いつけで反物をお届け先へ届ける途中、樹の下で居眠りしてしまう。
  2. 目を覚ますと、届けるはずの反物がない!やってきたお役人さんは、樹の下にいたのはお地蔵様だけだったと聞いて、お地蔵様をひっとらえる。
  3. 村人達は、お白州で開かれたお地蔵様のお裁きに大いに関心を持って集まる。しかし、お奉行様とお地蔵様のやりとりを見て、おかしくてたまらなくなり、しまいには酒を飲んではやしたて、笑ってしまう。
  4. お奉行様は「傍聴人達の無礼がけしからん」として、傍聴人全員に、一人につき一反、反物をさしだす罰を与える。小僧さんにその中を探らせた所、盗まれた反物が置いてあり、そこから真犯人をつきとめた。そして、お地蔵様には『見ていたのに知らせなかった』として、縄でしばったまま、元の位置に戻す罰を与えた。

しばられ地蔵のあらすじ!

むか~し。

ある村外れの樹の下に、お地蔵様が立っていました。

 

ある夏の暑い日、大きな風呂敷包みをかついだ小僧さんがやってきました。

大旦那の言いつけで、反物をお得意先へ届ける途中でしたが、小僧さんは、もう、くたくた。

ごろりと寝転ぶと、いつの間にか眠ってしまっていました。

 

「ふわぁ~ぁ…」

目を覚ました小僧さんは、びっくり!

 

オラの風呂敷包みがない!

お地蔵さん…

オラの反物、知らねぇだか?」

と言われても、石のお地蔵様ですから、答えるはずがありません。

 

「あの反物なくしたら、オラの旦那が鬼みたいな歯ぁむきだして怒るだ!!」

小僧さんがわんわんと泣いたので、どうしたことかと村人達が集まってきました。

 

「反物20反、盗られたじゃと!?」

村人達は急いでお役人さんを呼んできました。

 

「…で、反物盗られた時、誰かそばにいなかったか?」

泣き続ける小僧さんに、お役人さんは優しく聞きました。

 

「だぁれも、おらなんだぁっ!」

と、小僧さん。

 

「本当に、誰もいなかったんじゃな!?」

 

小僧さんはそう言われて、ちらりと、お地蔵さんの方を見ました。

 

「…あのお地蔵さんがおりましただ…」

「なに、お地蔵さんじゃと? しかと、間違いあるまいな!?」

「へぇ、間違いありません。」

 

お役人さんはしばらく考え込んでいましたが、突然、高らかに叫びました。

「それならば、犯人は、この地蔵様じゃ!

召し捕れぇ!!」

 

捕り方達も、見守っていた村人達も、ぽかんと口を開けました。

が…

 

「何をぼやぼやしている! 召し捕れぇ!」

どうやら、お役人さんは本気で叫んでいるようです。

 

「御用だ、御用だっ!」

「御用、御用っ!!」

撮り方達は仕方なく、お地蔵さんが逃げないように縄で縛り上げ、ひっとらえて行ってしまいました。

 

「これより、呉服屋の小僧が、反物を盗まれた件につき、裁判を執り行うぞや!」

やがて、お地蔵さんはお白州(おしらす:今で言う裁判所のこと)にひっぱり出されることになりました。

お地蔵さんは、お奉行様の前で、小僧さんと並んで置かれました。

 

「これ、小僧や。

お前が反物を盗られた時、そばにいたのは、この地蔵様に間違いないな?」

「へへぇ~…間違いございやせん。」

「それならば、この地蔵様が怪しい!

これ、地蔵様。

これからワシが問うことに正直に答えなければならんぞ! よいか!?」

お奉行様が言いましたが、お地蔵様は、すまし顔。

 

「地蔵様!

盗んだ反物をどこへ隠した!?」

(……)

「返事をせんかぁっ!」

(……)

「むむぅ~?

返事をせんとこを見ると、地蔵様、怪しい…」

「ええっ!? 地蔵様が?」

思わず小僧さんは叫んで、目をぱちくり。

傍聴人も、笑いをこらえるので一生懸命です。

すると…

 

「地蔵様がしばられとる!

おかしいなぁ!」

傍聴人の中の子どもが笑いながら叫びました。

傍聴人たちも、たちまち大笑い。

 

それでも、お奉行様は、ぱちん! と扇子で床を叩くと

「改めて問う!

反物をどこへ隠した!?」

険しい顔をしてお地蔵様の取り調べを続行します。

 

しかし、いくら

「返事をせぬか!?」

とお奉行様が語気を鋭くして問うても、お地蔵様は、うんとも、すんとも言いません。

 

しびれを切らしたお奉行様は、とうとう叫びました。

 

「この地蔵様が、反物泥棒じゃ!

牢屋へ連れて行け!!」

 

あーははははは…

いーひひひひひ…

傍聴人達は笑い転げました。

なんと、傍聴人の中には、見物しながらお酒を飲んでいるものまでおりました。

 

「お地蔵様がしゃべれるはずねぇ!」

「そうとも、そうとも。なんぼ聞いても、しゃべれるはずがねぇ!」

「お役人様、ちぃっとココがおかしいんでねぇかや!?」

 

「ええい! 黙れ、黙れ!! 鎮まれぇいっ!」

お奉行様が顔を真っ赤にして叫ぶと、傍聴人達は笑うのをやめて、ぽかーんとお奉行様を見つめました。

 

「皆の衆!

誰に断って、このお白州に入ってきた!

無断で入っておきながら、笑ったり、ヤジを飛ばしたり、不届き千万!!

この上は、罰として、一人一反ずつ反物を持ってまいれ!!」

「そ、そんな…」

突然のお裁きに、村人達は愕然としました。

 

やがて、お白州の上には、人々の持ち寄った反物の山が出来上がりました。

すると…

 

お奉行様は小僧に、何やら耳打ちし、小僧は満面の笑顔でその山を漁り始めました。

 

「あぁっ!

あった!

ありましたぁっ!

「おぉ、あったか。これが盗まれた反物かぁ。

これで大旦那に怒られんですむぞ。」

 

こうしてお奉行様は、犯人をつきとめることに成功しました。

みんなに反物を持ってこさせたのは、犯人を捕まえるためだったのです。

 

ところで、肝心のお地蔵様の方はというと…

 

『反物を盗まれるのを黙っているとは、不届き千万!

罰として、そのままにしておけ』

ということになり、縄でしばられたまま、樹の下に戻されました。

それ以来、ずっと縛られたままだったそうです。

 

小僧さんは大旦那の使いを無事に果たすと、お地蔵様のところへやってきて手を合わせました。

 

「お地蔵さん。

オラが反物盗まれたばっかりに、すまんこって…

今度来るときには、おだんご持って来ますけに…」

 

そんなわけでこのお地蔵様は、村の人達から『しばられ地蔵』と呼ばれたそうです。

しばられ地蔵のまとめ、教訓と感想!

なんて出来た面白い昔話。

まるで落語でも聞いているかのようですね。

 

…と、思いきや。

実は『しばられ地蔵』はフィクションではなく、史実に残っている、実際に起こったお話だというから驚きです!

 

時は、江戸時代の、八代将軍 徳川吉宗の頃。

呉服屋の千代が、東京都 葛飾区にある南蔵院の境内で眠っている間に、盗難にあってしまいました。

 

調べに当たったお奉行様は、南町奉行の大岡越前守(おおおか えちぜんのかみ)忠相(ただすけ)。

 

「本日のお白州、それまで!」

の名セリフで有名な、『大岡越前』のドラマに出てくる、あのお方です。

 

 

う~ん…

 

『しばられ地蔵』のお奉行様は、『名奉行』というより、『迷奉行』に見えるのは、私だけでしょうか?

ドラマの中のお奉行様とのイメージのギャップが余りにもありすぎて、なんだか頭が痛くなってきますね。

 

とんだ災難に巻き込まれた挙げ句、反物一反を徴収されてしまった、無実の村人達が可哀想でなりません。

『一人につき』

ですから、子供連れで見に行っていた場合、子供の分まで重たい罰金として課されてしまった、というわけです。

 

もちろん、反物と言ってもピンキリですが、たとえば大島紬なら、現在では数十万円もします。

『傍聴するのがダメ』というのなら、最初から厳重に警備して入らせなければいいのに、と思いませんか?

 

この一件から大盗賊団を一網打尽に出来たそうですが、犯人を捕まえるための罠だとしても、あんまりです。

 

でも、一番の被害者は、なんといってもお地蔵様ですよね。

実物のお地蔵様は1mほどの高さの石仏ですが、ただ、お寺の門前に立っていただけなのです。

強盗団を捕まえた後、越前守はお地蔵様に感謝を表すために、立派なお堂を建立して、盛大な『縄解き供養』を行ったそうです。

 

ところが、どっこい。

 

実際に、東京都 葛飾区 東水にある、業平山(なりひらざん) 南蔵院のHPを見てみると、足から胸元まで、荒縄でがんじがらめに縛られた『しばられ地蔵』の痛ましい写真が、大きく掲載されています。

 

「え?

縄は、解いてもらえたんじゃないの?」

と驚きますよね。

 

それが、なんと、この事件以来

『お願いする時は縛り、願いが叶えば縄解きする』

という信仰に変わってしまったというのです。

 

『縛られ地蔵』は、『盗難除け 厄除け』をはじめとして、縁結び(縄が結んであることにかけた、ダジャレでしょうか?)など、いろいろなお願いごとを叶えてくださるそうです。

特に、病気の治癒へのお願いをよく聞いてくださるそうですよ。

 

そして、毎年、大晦日の夜11時に、『縄解き供養』が盛大にとりおこなわれます。

一年間頑張ってみんなのお願いを聞いてくれた『しばられ地蔵』の縄を、住職が解くのです。使い終わった縄はお焚き上げされます。

 

しかし、新年が始まると、『しばられ地蔵』は、また荒縄で縛り上げられ、参拝客から次々に、新たなお願い事を頼まれてしまうのです。

 

『しばられ地蔵』のお話自体は、お役人さんの姿も、お奉行さんの姿も、なんとも滑稽で、久しぶりにお腹を抱えて思いっきり笑えた昔話だったのですが…

 

真実というのは、得てして知らないほうが幸せなときもあるのかもしれませんね。

あらすじウサギ
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うーん…

もしボクが『しばられ地蔵』で、そんな酷い扱いを受けてたら、お願いされても、絶対に叶えてなんかあげないけどなぁ…

絵本おばあちゃん
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