三びきのこぶたのサクッとあらすじ!
まずは、登場人物と簡単なあらすじを見ておこう♪
- お母さんぶた…三匹のこぶたを家から巣立たせ、それぞれの家に招待される。
- 長男のこぶた…なまけもので、簡単に出来るわらの家を作る。
- 次男のこぶた…面倒くさがり屋で、木の家を作る。
- 末のこぶた…臆病者なので、頑丈なレンガの家を作る。
- オオカミ…なんとかこぶた達を食べようと頑張る。
- 三びきのこぶたは、お母さんのぶたのもとから巣立ち、それぞれの家を作り始める。長男のこぶたは、わらの家。次男のこぶたは、木の家。それぞれお母さんぶたを呼んだが、お母さんぶたは心配そう。末のこぶたは、レンガの家。長男のこぶたと次男のこぶたから完成が遅いとバカにされつつも頑張って作り上げる。
- 腹ぺこオオカミが森にやって来た。わらの家は吹き飛ばされ、木の家は燃やされて、二匹のこぶたはオオカミに食べられてしまった。しかし、末のこぶたが作ったレンガの家は丈夫で、オオカミは手も足も出ない。
- なんとか末のこぶたも食べたいオオカミは、さまざまな策を講じて末のこぶたを家の外へおびき出す。オオカミvs末のこぶたの知恵くらべの始まりだ。末のこぶたの方が一枚上で、オオカミに大怪我を負わせることに成功した。
- それでも、オオカミはあきらめない。とうとう、煙突を伝って末のこぶたの家に忍び込む計画を立てた。しかし末のこぶたは逆にオオカミを釜茹でにし、お母さんぶたと二人で食べた。
三びきのこぶたのあらすじ!
イギリスのある森に、お母さんぶたと三びきのこぶたが住んでいました。
「そろそろみんな、それぞれの家を建てて暮らしなさい。」
お母さんぶたが言いました。
「それじゃあ、立派な家を作って、一番初めにお母さんを招待します。」
三びきのこぶたは勇んで旅立って行きました。
長男のこぶたは、なまけもの。
くいしんぼうで、まるまると太っていました。
農家のおじさんから、沢山のわらを分けてもらうと、ロープでくくって、はい、おしまい。
家を作るなんて、簡単、簡単。
さっそく長男のこぶたは、わらの家にお母さんぶたを招待しました。
でも…
「嵐になったら、この家、大丈夫かしら…」
あらあら、お母さんぶたは、心配そう。
次男のこぶたは、面倒くさがり屋。
ハンモックに揺られてお昼寝するのが大好きです。
木こりのおじさんから、木をたくさん分けてもらうと、トンテン、カンテン、釘で打って… はい、完成!
それでも…
「家事になったら大変だわ…」
やっぱり、お母さんぶたは心配そうです。
末のこぶたは、臆病者。
頑丈な家を作ろうと思い、レンガ職人のおじさんからレンガをたくさん分けてもらいました。
レンガの家を作るのは大変です。レンガにセメントを塗って、一つ一つ丁寧に積み上げていかなければなりません。
「まだ作ってるのか。のろまだなぁ。」
「僕らは、もうとっくに出来て、お母さんをご招待したもんね。」
長男のこぶたと、次男のこぶたは、末のこぶたをバカにして笑いました。
それでも末のこぶたは気にしません。
毎日、毎日、せっせとレンガを積み上げて…
「やったー! ついに出来たぞー♪」
ちょうど、その頃。
おなかを空かせたオオカミが、この森にやってきました。
「美味しそうな、こぶたの匂いがするぞ~♪」
オオカミは、ぺろりと舌なめずりをしました。
初めにやって来たのは、長男のこぶたの家。
「おーい! ここを開けろー!」
オオカミはガラガラ声でどなりました。
「誰ぇ?」
長男のこぶたは、りんごをむしゃむしゃ食べながら、すぐにドアを開けました。
「おぉ~! こいつは、まるまると太ってて、うまそうだ!!」
「あぁ~っ!!」
長男のこぶたは、びっくりしてりんごを放り出すと、急いで家に逃げ込みました。
ところが…
オオカミは、大きく息を吸い込むと
ぶぅぅ~!!
あっという間にわらの家を吹き飛ばし、長男のこぶたをぺろり。
「でも、まだまだ食べたいぞー!」
オオカミが次にやって来たのは、次男のこぶたの家。
「おーい! ここを開けろー!!」
オオカミはどなりましたが、返事がありません。
不思議に思って窓からのぞくと、次男のこぶたは、ぐぅぐぅベッドで眠っていました。
「こんな木の家、火をつければあっという間だ!」
オオカミは言うが早いか、マッチで家に火をつけました。
家はたちまち燃え上がり、オオカミは、次男のこぶたを、ぺろりとひと飲み。
「おなかいっぱい!
でも、あと一匹は食べたいなぁ。」
ついに、オオカミは末のこぶたの家にやって来ました。
「おい、こぶた! ここを開けろ!」
オオカミがどなると
「誰もいませーん!」
末のこぶたは、玄関のドアにバリケードを張って、泣きながら言いました。
「そうかい。それなら、さっきみたいに丸焼きにしてやるぞ!」
オオカミはマッチで火をつけましたが…
あれあれ?
家は燃えません。
「火が弱かったか?」
マッチの数を増やしてもダメです。
むきになったオオカミは、力一杯、家に向かって体当りしましたが…
かえって怪我をしてしまいました。
末のこぶたが一生懸命作っただけあって、なんて丈夫な家なんでしょう。家ごと破壊するのは無理そうです。
オオカミは、うーん…と考え込みました。
「おーい、こぶたくん。
3時に、パン屋でパンが焼き上がるぞー!」
「お腹がすいたなぁ。でも、オオカミは、きっと何か企んでるぞ。」
そこで末のこぶたは、オオカミに出会わないように用心しながら、2時にパン屋に行きました。
オオカミは、3時より少し前にパン屋に行きましたが、待っても、待っても、末のこぶたはやって来ません。
「おーい、こぶたくん。パン屋に行かないの?」
とうとう、末のこぶたを誘いに行きましたが
「パン屋には2時に行ってきたよ。」
末のこぶたは安全な家の中で、美味しそうにパンを食べているところでした。
「ちっくしょー! 生意気なぁっ!!」
オオカミは、またまた、うーん、と考え込みました。
「おーい、こぶたくん!
明日の朝6時に、バザールがあるよ!
お店がいっぱい出てるぞぉ!」
「バザールかぁ。楽しそうだなぁ。
ありがとう! 明日の6時だね。」
末のこぶたは、5時にバザールにやって来ました。
「帰って、この樽でりんごじゃむを作ろう!」
大きな樽を手に入れて、大喜びです。
ところが…
「おい! こぶた! いくら早く起きても無駄だぞ!
俺は昨日から、ずっと待ってたんだ!」
なんと、オオカミに待ち伏せされてしまっていたではありませんか!
「大変だ、どうしよう。
こうなったら…」
末のこぶたは樽の中に入ると、そのまま、ころころと坂を下りました。
こぶたの目は、ぐるんぐるん。
でも、こぶたの入った樽にぶつかったオオカミを、大怪我させることに成功しました。
「いててててて…
絶対に、許さんぞぉっ!」
オオカミは怪我が治ると、はしごを持って家を出ました。
「生意気なこぶため!
煙突から忍び込んで、今度こそいただきだっ!!」
しかし、用心深い末のこぶたは、オオカミがやって来るのを、ちゃあんと知っていました。
「よーし! 見てろよぉ…」
さぁ、大急ぎ、大急ぎ!
末のこぶたは、煙突の下の暖炉で、大きな鍋にお湯をわかし始めました。
「おや?
なんだか熱いぞ…」
オオカミは煙突を降りながら不審に思いました。
けれども、我慢して、そのまま降りていくことにしました。
「なんてったって、もうすぐで、美味しいこぶたを食べられるんだからな…」
ところが…
「あちちちちっ!」
オオカミがたどり着いた先は、ぐらぐら煮立った鍋の中!
食べられてしまったのは、なんと、オオカミの方でした。
末のこぶたはお母さんぶたを招待して、オオカミを煮込んだ鍋を食べたのです。
「お前は一番臆病だったけど、一番、賢かったようだねぇ。」
お母さんぶたは、満足そうに言いました。
末のこぶたは、それからも臆病なままでしたが、強く、たくましく生き抜いていきましたとさ。
三びきのこぶたのまとめ、教訓と感想!
この物語は西洋の人々の間に古くから伝わってきた昔話です。
1933年にディズニー映画になり、一躍有名になりました。
面倒くさがり屋で、ハンモックに揺られてお昼寝するのが大好きな次男のこぶたが作ったのは、木の家。
「家事になったら大変だわ…」
と言うお母さんぶたの言葉や、マッチで放火されて丸焦げになったところをオオカミに食べられた所を見ると、昔から木造の日本家屋で生活してきた我々にとっては、ちょっと、うーむ…と腑に落ちない点もありますよね。
なんだか悔しいので調べてみた所、レンガ作りの建物は材料費も工賃も高くつき、加えて、耐震性に弱いことが分かりました。もちろんオオカミがタックルしてきたくらいではどこ吹く風ですが、地震の多い日本にはあまり適しません。日本では、庶民の家ではなく、工場や倉庫、兵隊専用の宿舎として建てられてきたようです。
お母さんぶたを呼ぶ、という設定はどうかな?とは思いましたが、上記のお話は原作に近いものです。
絵本で『三匹のこぶた』を見ると、お話がだいぶマイルドになっていて、長男のこぶたは次男の家へ、それもダメなら二ひきそろって三男の家へ…と、オオカミが家を破壊するごとに逃げ、しまいには三匹とも助かります。私が知っていた『三匹のこぶた』もそんな内容でした。
中にはオオカミはちょびっとヤケドをした程度で山に逃げ帰ったり、なんと、こぶたと和解してしまうパターンもあるようですよ。
私は他の絵本で省かれている、オオカミとこぶたの知恵比べのシーンが一番好きです。
オオカミに捕まらないためには、話を逆手に取って、1時間だけ早く行けばいい。
そのこぶたを捕まえるには…
前の晩から張り込めばいい!
小さい子には少し難しい内容ですが、時間の感覚を覚えた子には、ツボにはまるやりとりだと思います。
オオカミに捕まえられそうになった末のこぶたが、空の樽に入って、目を回しながらオオカミにドシーンと体当たりするシーンも、とっても可愛らしくて面白かったです。
それにしても、最期はお母さんぶたと一緒に、オオカミを食べちゃうのには、驚きました。
でも、実際、原作でも、ゆでられたオオカミはこぶたに食べられてしまうんです。
うーん…
これって、長男と次男のこぶたは、そのオオカミに食べられているから、間接的に共食いしたことになってしまうのではないのでしょうか?
そう考えると、途端に、背筋がゾッとするようなサイコパスなお話になってしまいますよね。
豚は家畜用にイノシシを改良して作られた生き物なので、動物性たんぱく質は大好き。卵も喜んで食べますが、アメリカでは、なんと、殺害した人間を豚に食べさせる、という猟奇的な事件も起こったそうですよ。
イラストやぬいぐるみにすると可愛らしいこぶたですが、実際はちょっと怖い存在なのかも知れませんね。
『三びきのこぶた』にはいろんなパターンがありますが、その教訓は一貫しています。
『一生懸命、手間暇かけて作ったものの方が丈夫で長持ちする』という教訓です。
『急(せ)いては事を仕損(しそん)じる』や、『石橋を叩いて渡る』ということわざが日本にもありますよね。
それにしても、末のこぶたの活躍っぷりは、すごいですよね。
『臆病だったから、丈夫なレンガの家を建てた』とされていますが、本当に臆病だったら、怖いオオカミと実際に遭遇した時点で慌てふためいて、知恵比べなんて、とてもじゃないけど出来なかったことでしょう。
いざという時はクールに状況を判断して、その頭脳をいかんなく発揮出来る、なんて、なんて男らしくてかっこいい!
むしろ『慎重派で勇敢だった』のでは、と思いました。
『二人のお兄さんに「遅い」とバカにされて笑われても、万が一の時に備えてせっせと丈夫な家を作る』なんて、末のこぶたは根性もあるよね。